内容説明
「子ども」に関する私たちの常識はどこからきたのか? 欧米と日本の近代化に沿い,保護され教育される存在へと変わりゆく過程を解説。多様な現実や,議論の変遷を社会学の視点で掘り下げ,子どもにまつわる政策論や実践を背景から読み解く力を身につける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
10
これまで読んできた家族社会学の議論は婚姻関係と福祉関係に比重が置かれていたものが多かったので、それに留まらない言説の線分が整理されていて勉強になった。特に「虐待」の訳語がabuseではなくcrueltyだったという話は、鬼滅の一話が「残酷」だったことを思い出した。公娼制度や児童買春に関する議論は、るろ剣の駒形由美を思い出したが、単行本はもう随分前に処分してしまっていた。『少年アシベ』や『いまどきのこども』なども含めて良いだろうが、こうした作品で子どもや年少者がどう描かれてきたかを跡付けることもできそうだ。2025/09/09
バーニング
3
そもそも「子ども」とはどういうカテゴリーなのか? という問いから出発しながら実はどの時代も曖昧なカテゴリーであることが歴史社会学的に解説されていくところがスタート。つまり、「子ども」の定義は普遍ではなく、国や社会、時代によって異なっているということが前提となる。確実なのは、時代によって「子ども観」が変化していくということ。その変化のプロセスを、少年犯罪や児童労働といった様々なテーマを交えながら現代まで駈け抜ける一冊。2025/08/31
Go Extreme
2
子ども観の歴史考察 矛盾をはらむ定義群 議論や実践の動き 現代日本の社会学的探究 当為ではなく事実の探究 多様で矛盾する定義群 大人とは異なるイメージ 大人への準備段階としての見方 教育学・心理学の影響を受けた専門用語 法制度上の線引き 自由と管理の概念 子ども向け文化と社会問題 曖昧な規範や常識との関係 特定の年齢での定義ではない 愛情・保護・教育による育成 愛と躾のバランス重視 子どもだからといって特別扱いしない厳罰化論 個性や多様性尊重 子どもと大人の差異が見えづらい時代 歴史社会学→常識の相対化2025/05/18
文明
0
議論が整理されていた。中高生などにおすすめ。2025/09/06