五本指のけだもの

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五本指のけだもの

  • ISBN:9784336074201

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内容説明

死霊、異常心理、怪物、狂信――
英国怪奇アンソロジーの定番作家、本邦初の短篇集。

古く平井呈一らに邦訳がなされ英国怪奇ものの一角をなすW・F・ハーヴィー。
鬼気迫る幽霊談、暗合と運命の交錯する奇譚から、精神の暗部を抉る不気味な物語まで、ときにブラック・ユーモアを漂わせて絶妙なアトモスフィアを醸しだす。

水木しげる漫画「むし暑い日」に翻案された「炎暑」、あるいは映画『五本指の野獣』の原作として後世のホラー映画に影響をもたらした「五本指のけだもの」等々、新訳が俟たれし異界への裂け目を顕わす作品をここに集成。
初訳3篇を含む新訳による珠玉のコレクション。


?初訳作品「ミス・アヴェナル」「追随者」「ピーター・レヴィシャム」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

keroppi

69
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の二・洋編〉ホラーイベントの洋編ってことで、「2025このホラーがすごい!」の第一位になっていた本書を読んだ。何の知識もなく手に取ったが、100年前に書かれた小説だった。「炎暑」と表題作「五本指のけだもの」が特に面白かった。ゾクっとするというより、謎めいた物語。宗教的なのはイマイチ入り込めなかった。訳者解説によると、水木しげるが、「炎暑」を漫画化していたり、「五本指のけだもの」をネタにした漫画も描いているらしい。読んでみたい。2025/07/23

yukaring

67
どれをとっても粒ぞろい。ホラーというより不気味で不条理な世界観が強い幻想怪奇短編集。有名な作品という「炎天」を初めて読んだが本当に絶品。ある画家がインスピレーションに任せて描いた裁判所の絵。絵の中の被告人の男にそっくりな男と現実に出会ってしまった時…。「ミス・コーニリアス」怪異に悩まされる夫婦とある邪悪な女性。気が狂っているのは誰なのか?足元が脆くも崩れ去るような読後感が衝撃。幽霊や憑依、異常心理、狂信など盛り沢山でどれもはっきり最後まで描かず読者に想像させるのがモヤモヤしつつも妄想が膨らみ楽しかった。2025/07/24

HANA

66
何とも端整な怪奇小説集。冒頭のアンソロジーピースとしては外せない「炎暑」からもう本の中に惹きこまれる。不思議な出来事を二つ列挙しただけで、その後の惨劇を予感させる出来はもう名作としか呼びようがないなあ。吸血鬼や憑依といったダイレクトな怪奇小説も良いけど、個人的には「追随者」や「道具」といった何かが背後に隠れているような得体の知れなさを持つ作品が好き。表題作はどこかコミカルな面を持つ妙な一作。ブラックユーモアを持つそれは、どこかパイソンとかに通じるものを感じる。「炎暑」は暑い季節に是非読んでもらいたいなあ。2024/07/24

maja

27
W・F・ハーヴィの怪異譚9篇が収録された短編集。「炎暑」は既読。じんわりと怖さに染まる「炎暑」。傍観者でいたはずが実はもう身動きが取れないほど囚われていたという「ミス・コーリニアス」の2作品の捉えられない恐怖がよかった。表題作の「5本指のけだもの」はドゥーワップコーラスの白手袋のもったいぶった動きを何故だか思い浮かべてしまったものだからか可笑しくなってきた。特異な不気味な話なのであるけど。2025/06/06

くさてる

23
まさに古めかしい怪奇小説で、お好きな方にはたまらないという感じの短編集。「炎暑」と「五本指の毛だもの」は以前アンソロで読んだことがある。やはりこの二作が抜きんでていると思うけれど、最後の展開が思いも寄らぬ怖さがあった「ミス・コーリニアス」が好きで。。2024/10/28

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