内容説明
「セカンド・チャンス」(人生をやり直すチャンス)という,危機に直面する人間存在を揺さぶる想念はいつの時代も文学的想像力の核心であった.偶然や意志や運命に左右されるセカンド・チャンスの実現や失敗を描いてきた歴史上最高の作家とその最高の解釈者を通して,人間の再生能力の力強さを考察する珠玉の一冊.
目次
序章
第1章 シェイクスピアのファースト・チャンス
第2章 セカンド・チャンスがない人生
第3章 セカンド・チャンスと非行
第4章 シェイクスピアのセカンド・チャンス
第5章 さあ,もう一度
第6章 フロイトとプルースト
第7章 セカンド・チャンス――是か非か
結部
謝辞
原注
訳注
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
この著者の作品は同じ岩波新書で出版された「暴君」でトランプを揶揄したことが印象に残っていました。この作品ではフロイトの専門家を共著者に加えてシェイクスピアとのコラボになっている感じがしました。ただ私が以前に読んだシェイクスピアの作品の分析が中心となっていて興味深く読みました。訳者の河合祥一郎先生の訳者あとがきが参考になって先生が訳されているシェイクスピアを読んでみようという気になりました。2025/09/17
neimu
37
サブタイトルを見てちょっとハードルが高いなと。シェイクスピアの全作品を読んでいる訳じゃないし、フロイトは知らないではないけれど、うーん。退職してから「人生をやり直す」関連を読んでも何になると拗ねた気持ちにもなり、だから分かる部分もあるのだが。40pもある序章は読みやすい。一読で内容理解はキツイが心に響くフレーズはあるし、納得できる部分もあるが、紹介作品内容は再読が必要。人生における何かしらの再構成・再構築のきっかけを見落としているから難しいのだと言われると、そりゃそうだとしか言いようがない。認識の相違。2025/10/19
武井 康則
6
セカンド・チャンスとは人生をやり直すとか、第二の人生の意。シェークスピアの作品から学ぼうという。セカンド・チャンスに成功したのは喜劇類であり、今の日常が変化して、それにうまく適応して次の日常へ。失敗したのが悲劇で、その変化に対応できなかった。シェークスピアの作品の粗筋が延々続く。そして後半は精神分析医の解釈で、フロイトの精神分析をそのまま当てはめているのでただ答え合わせをしているよう。セカンド・チャンスを学ぶ本かと思ったら、セカンド・チャンスという観点からシェークスピアを読もうということか。2025/10/22
The pen is mightier than the sword
5
本の展開に最後まで委ねきれずに読み終わる。シェイクスピアの悲劇、リア王、マクベス、テンペスト、オセロ、冬物語がしきりに引用され、主人公がいくつものセカンドチャンスを活かすことができない場面が取り上げられる。疑念や嫉妬で凝り固まり、友人たちの直言がはねのけられる。フロイトは幼少期の喪失感でトラウマになるとしているが成年になって克服する。失敗してもセカンドチャンスはあるが、掴みとるのはその人次第。自分は単純な解釈しかできなかったが、この本はもっと味わい深いものだと思うが、なかなか読み取りきれなかった。5912025/10/07
HALI_HALI
5
良書。物事の捉え方・視点を増やすことができました。『セカンド・チャンス』は、失敗や喪失を終わりではなく「まだ生きられていない可能性」と捉える視点を示す。過去を振り返り再解釈することで、人生やキャリアは修正可能な設計図となり、未知への不安を抱えながらも望む未来を再設計できる。再挑戦の思想が人を豊かにし、組織や個人の成長を導く。この考え方を述べるために本書前半ではシェイクスピア作品の粗筋を引用し、後半ではフロイトの考え方を引用している。2025/09/07
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