内容説明
『意志と表象としての世界』を著したショーペンハウアー(一七八八―一八六〇)の『余録と補遺』から,生と死をめぐる五篇を収録.人生とは意志=欲望が満たされぬ苦しみの連続であるが,自殺は偽りの解決策として斥ける.皮肉と遊び心に富んだ人生観察家による珠玉の哲学的散文.新訳.
目次
凡 例
われわれの真なる存在は死によって破壊されえない,という教説について
生存の虚しさについての教説への補足
世界の苦しみについての教説への補足
自殺について
生きようとする意志の肯定・否定についての教説への補足
訳 注
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ののたま
18
全体を理解することはできなかったが、この世は地獄で、我々はそこで苦しみ生きながら、同時に他者を苦しめ得る。そのため、他者を共に苦しみ生きる者として思うことが必要という考えは良かった。▲再読、精読が必要2025/10/04
mana
1
訳者解説を読んで、ショーペンハウアー自身が経済的に恵まれていた一方、求めたものは得られないという葛藤の中で生きてきた人だからこそ、こういう思想を持ったのかと納得。本著も決して明るくはない、むしろ人生を苦と捉えた悲観的な内容だが、しかし自殺を肯定しているわけではない。なぜなら、死は意志の終わりでなく、苦からの解放でもないからだ。死を越えた存在の想定は、輪廻の思想にもつながるように感じた。東洋思想の影響を受けているためか、彼自身の持つ人間臭さのためか、ショーペンハウアーの思想には納得できる部分も多かった。2025/12/27
本よみお
1
近所で自殺事件があり、私も自殺についてよく考えるので、読んだのだが、うん、難解であった。またいつか読む。2025/12/09
Go Extreme
1
https://claude.ai/public/artifacts/a707f2a0-566d-440b-9a79-eba15d79cf8c 2025/06/14
ときのことだま
0
ショーペンハウアーはヘーゲルの著書を「意図的に分かりにくくして権威を装っている」と言ったそうだが、この本も決してわかりやすくはない。自殺はダメだと生きる希望を語るわけではない。自殺は罪(法的、宗教的など)ではない、と言われればそのとうりで、「賤民的に頑迷なイギリス」では19世紀半ばまで、自殺は犯罪(埋葬不可や財産没収)だったことに驚く。自殺肯定論のようにも読めるが、この悲観主義者は、自殺は救いでなく「生の意志」の別のかたちだという。否定しているのだ。よくわからない哲学論は「ナマな生」には響かない。2025/09/17




