エクス・リブリス<br> ブリス・モンタージュ

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エクス・リブリス
ブリス・モンタージュ

  • ISBN:9784560090954

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内容説明

全米批評家協会賞受賞作品

本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。
同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。
本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。

[目次]
ロサンゼルス
オレンジ
G
イエティの愛の交わし方
戻ること
オフィスアワー
北京ダック
明日
謝辞
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

140
日常に潜む暴力。DV、女性への、そしてルーツへの偏見と差別、マイクロアグレッション。ひとつひとつは軽い痛みでも、ずっと引き摺る。ふとした瞬間に思い出され、引き摺られてしまう。軽い?そう思うのは僕が男性だからだ。何年経っても消えないのなら、それは決して軽くない。おや?あれ?奇妙な違和が積み重なって、ズレていく感覚が愉しい。落とした「オレンジ」が見つからない、「オフィスアワー」に訪ねる研究室の穴の先には残像が潜んでいる。異界は日常のすぐ隣にある。タイトルは映画の用語だそうだが、どの短篇も映画の手法や理論を⇒2025/03/06

たま

74
イーユン・リー、ハ・ジンさんを読み、中国系アメリカ人作家3人目。リン・マーさんは前の二人よりも若く、83年生まれ、生まれは中国だが幼児期に親と渡米した第2世代らしい。たぶんそれゆえイーユン・リーやハ・ジンが描いた家族のしがらみは薄く、しがらみが薄い分、人々の孤独が深い印象を受けた。ちょっと不思議な、幻想小説風の作風だが、孤独のリアルを読み手に伝える手段としての幻想の用い方が巧みで感心する。唯一〈リアル〉な「北京ダック」は何重もの語りの仕掛けで幻惑された。2022年全米批評家協会賞受賞。2025/05/15

キムチ

58
移民文学・・と言うカテに入るのだろうか、アジア系合衆国作家を数人読んできたが、この方は若手。翻訳者藤井氏の入れ込みも感じた。既読の移民文学より1枚ベールを脱ぎ帝国主義への道を粛々と進む合衆国の中の彼らの孤独断絶感が刃のように刺さる。入っている8編何れも非日常的場面でありながら、恋愛、妊娠、帰国更に日常的空間、時間が記号で象徴されたり抽象的喜怒哀楽がモチーフ化されている。$$$が恰も芸術のように字面に踊るのは悲愴寂寥というより滑稽、冷めたユーモア感。この表題、初めて耳にして意味が?映像作家の新造語との事。2025/06/25

天の川

56
短編集。中国系アメリカ人女性作家による現実と非現実が交錯する世界に、不安定な気持ちを掻き立てられる。中国系の人々が出会わざるを得ない差別がそこここに顔をのぞかせる。中国人家庭の頑なさも。特に好きだった2編、『オフィスアワー』は母校に助教として戻り、恩師の研究室を使うことになった彼女の前に現れた元教授が教える幻想空間、『北京ダック』は、創作科の授業での他人の体験を作品とすることについての話し合いからスライドしていく、ベビーシッターをしている家で居直り強盗に遭った母の体験がズシリときた。2025/04/07

藤月はな(灯れ松明の火)

48
「ロサンゼルス」は一緒に住んでいる百人の元カレや言っている事がドル記号で変換される投資家の夫という非現実感に酔いそうになる。だが、これすらも小説を際立たせている。何故なら過剰な非現実感で装飾していかないと、この物語の後に残るは、現実への寂寥ばかりなのだから。「オレンジ」のDVの元カレ、アダムとその彼女たちとの振るった/振るわれた暴力への記憶や意識の差異はまさに現実にごろごろ、転がっている。「北京ダック」はシュールだけど、現実にあったら凄く、嫌だ。そして「G」はカポーティーの「ミリアム」を彷彿とさせるホラー2025/04/24

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