内容説明
旧約聖書とはいかなる書物なのか。古代ユダヤの人びとはそこに何を読み込み、何を託してきたのか。本書は、半世紀にわたって旧約聖書と取り組み、古代オリエント学者としても豊かな学識をあわせもつ著者が、複雑で多層的な性格をもつ旧約聖書をさまざまな角度から読み解いていく珠玉の講演集である。文庫化にあたっては、定評ある旧版に、物語構造論の観点から聖書を分析する「旧約聖書における物語文学の構造と主題」など、5本の講演を大幅増補。その言葉は今を生きる私たちに何を投げかけるのか。旧約聖書の魅力を、第一人者が余すところなく語りつくす。
目次
古典としての旧約聖書/原初史の主題/旧約聖書の歴史記述と歴史観/人はひとりではない──旧約聖書にみる愛の倫理/旧約聖書にみる苦難の理解/歴史と信仰──預言者ホセアに学ぶ/主はわが牧者──ヤコブの生涯に学ぶ/旧約聖書と現代──一神教は暴力的か/古代文学にみる友情/旧約聖書における物語文学の構造と主題/初出一覧/旧版あとがき/文庫版あとがき/聖書略語表/古代イスラエル略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
101
古代オリエント学者で、旧約聖書学の権威である月本先生の講演集。先生は「旧約聖書を学ぶ中で、キリスト教神学や信仰を旧約聖書に読み込むことは極力避けるべき」と言う(だから「古典としての旧約聖書」)が、どうしてもキリスト教のフィルターを通して解釈してしまうのは、読み手の能力の限界かも知れない。一神教批判に対し、「旧約聖書の一神教は多神教からの排一神観」だと言う。確かに、ヤハウェ唯一神教はバビロニア捕囚以降に確立、旧約聖書の成立はキリスト教成立の数世紀前というように、時間軸を踏まえて読むことの大切さを教えられる。2025/07/13
へくとぱすかる
51
講演録なので理解しやすい文章である。旧約聖書そのものを読んだことがなくても、バベルの塔やエデンの園の物語などは有名なのでよく知られているし、宗教の聖典であるだけではなく、文学やさまざまな芸術の源泉にもなっている。古代オリエントの歴史と密接なつながりがあることや、ギルガメシュ叙事詩などとの関係もわかりやすい。今世紀に入ってからの学問的知見も反映されているので、改めて「そうなんだ」と知ったことも多い。翻訳にかかわる問題も多いらしく、日本語でできるだけ原意に近いことばを当てると、文意が急に通る例にも驚いた。2025/03/16
Francis
12
「見えない神を信ずる」に続いて読んだ。こちらもやはり講演集。だから読みやすい。旧約聖書はどのような書物であるのかがようやく理解できた。旧約聖書を読みたいのであれば、読む前に少なくともこの本は読んでおいた方が良いでしょう。2025/04/03
takakomama
7
10編の講演集なので読みやすいと思いきや、私には読み応えがありました。原語にふさわしい訳語を探して翻訳する苦労も相当なものです。旧約聖書は、その作品が記された時代、民族、文化を超えて人々に読み継がれています。聖典ですが、過去と現在を重ねて、すべての人の古典、人類の古典として読むことができます。 2025/08/27
rinakko
7
旧約聖書を人類の古典とする視点から、果敢に社会を糾弾する預言者の批判精神、多様な書物としてのダイナミズム、排他的民族主義と包括的普遍主義が併存することによる複眼的特色…などが読み解かれる。そして辺境の弱小民族の間で培われた信仰が、人類の精神史に多大な影響を残したという逆説的現象について。近年のキリスト教批判(人間中心主義や一神教のもつ暴力性)に対する、批判自体があまりにも杜撰だという指摘にはなるほど…と。物語文学としてのルツ記やヨナ書、ギルガメシュ叙事詩の件も面白かった。2025/06/17
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