内容説明
支那事変(日中戦争)の特徴は、戦争遂行と和平への努力が、ほぼ全期間を通じ並行してなされたことにある。この和平工作の舞台には外交官のみならず、中国通の経済人やジャーナリストなど様々な人物が登場した。本書はまず、極秘裡になされたがゆえに捉えづらい和平工作の基礎事実を確定し、これに従事したピース・フィーラーたちの実像を描き出す。宇垣工作、汪兆銘工作をはじめとする数多の試みは、なぜ一つとして成功しなかったか。日本側の事変処理政策や政府声明の決定過程を詳しく追跡することでその原因を解き明かした。日中関係、戦時外交を考えるうえで欠かせない名著。
目次
序章 和平工作研究の意味/第一節 本書のねらい/第二節 本書の構成/第一章 政略出兵から全面戦争へ/第一節 「対支一撃」/第二節 出兵への道/第三節 密使の派遣/第四節 不拡大方針の放棄/第二章 和平の模索/第一節 事変処理構想/第二節 第三国の仲介/第三節 否認論の擡頭/第四節 トラウトマン工作再開/第五節 和平条件をめぐる論争/第六節 トラウトマン工作打ち切り/第七節 トラウトマン工作の評価/第三章 「対手トセス」声明再考/第一節 長期戦の決意/第二節 世論対策/第三節 国民政府否認/第四節 否認をめぐる論争/第五節 「黙殺」から「否認」へ/第四章 事変処理構想の変遷/第一節 臨時政府と維新政府/第二節 五相会議の諸決定(一)/第三節 五相会議の諸決定(二)/第四節 新中央政権樹立工作/第五章 和平工作の交錯──宇垣・孔祥熙工作を中心として/第一節 宇垣外相の登場まで/第二節 宇垣外相の登場/第三節 現地工作の進展/第四節 高宗武の来日/第五節 宇垣の訓令/第六節 現地工作の再開/第七節 宇垣工作の進展/第八節 宇垣辞任の経緯/第九節 宇垣工作の評価/第六章 「日支新関係調整方針」の策定と汪工作/第一節 「調整方針」をめぐる疑問/第二節 「調整方針」の原案/第三節 「調整方針」の修正/第四節 参謀本部の和平構想/第五節 高宗武工作の進展/第六節 汪工作の変質/第七節 汪工作のその後/終章 和平工作の視点から見た支那事変/第一節 その後の和平工作/第二節 和平工作者/第三節 和平条件/第四節 和平、謀略、投敵/あとがき/文庫版あとがき/註/参考文献/解説/人名索引
感想・レビュー
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wuhujiang
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