内容説明
〈誰も死なないミステリーを君に〉の著者による渾身作!
夕凪が才華と初めて逢ったのは高校の図書室、『人間失格』を読んでいた時。「物語に殺されることってあると思う?」そんな問い掛けをして、才華はまもなく自死した。夕凪は「あなのあいた心臓」を抱えながら調査を始める。まもなく彼女宛てに死んだはずの才華からSDカードが届く。その中に入っていたのは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オセロ
54
これはすごい…。夏休み明けに突然自殺した親友が遺したSDカード。そして、そのSDカードにかけられたパスワードを巡るミステリーは2人が過ごした日々、親友が所属していた文芸部と彼女が書いた小説、そしてSDカードを渡された主人公の少女が抱える悩み…。全ての要素が絡み合って浮き彫りになる真実は残酷だけども、少女にとっては希望でもあって。この作品の良さを上手く表現出来ないのが口惜しい…2025/07/08
よっち
26
図書室で出会った先輩の葛城才華に魅了され、交流を深めてきた内海夕凪。しかし夏休み明け、才華が突然自殺してしまいその原因を探り始める青春ミステリ。心臓の疾患で行動を制約されてきた夕凪にとって、かけがえのない存在だった才華の死。彼女は果たして自殺だったのか。彼女から届いたSDカードの中にあった小説や「教師失格」は何を意味するのか。三者三様の反応を見せる文芸部員たちや、浮き彫りになる教師の存在があって、たどり着いた真相に何とも切なくなりましたけど、それでも確かな希望を感じさせてくれる結末には救われる思いでした。2025/06/19
わたー
21
★★★★★読み終わった後に思わず身悶えするほど良かった。前触れもなく自殺した親友。悲嘆に暮れる主人公の元に、生前の彼女からSDカードが届く。そのSDカードの中には「この物語の作者の名前」、「私と彼の罪」というパスワードのかかった2つのファイルが納められていた。これらが彼女の死と関係するのではないかと考えた主人公は調査を開始するのだが…と始まるミステリ。果たして人は物語で殺されることがあるのか。生前の親友との何気ないやりとりを回想しながら、徐々に彼女の死の真相へ迫っていく様子は、ミステリとしても2025/07/03
ツバサ
16
読み終えて、表紙を見直すと切なくて愛おしい2人の少女が目に入る。心に沁みわたっていく。どうしてあの人が死んだの?というところから出発し、様々な関係者を辿り、気づく真相に衝撃を受けました。それを、それは死に至るかもしれないと思えたのは作中の2人の少女の交流が互いにとって救いだったからかもしれない。2025/06/20
サキイカスルメ
14
タイトル……タイトルよ!!!一人の少女の死に納得がいかない主人公が死んだ彼女から送られたSDカードによって、死んだのはなぜか、それが自死だったとしても彼女を追い詰めたものがあるなら、それは犯人がいるということではないかと調べ始める物語。「物語に殺されることはあるか」と同時に「物語に救われることはあるのか」も描かれていたと感じました。彼女が迎えた結末、真実を知った主人公の独白は胸が苦しくなるほどの切なかったです。でも、彼女たちが向け合うものは優しさでしかないと思える描き方ずるいよなぁ。2025/06/24