もしロシアがウクライナに勝ったら

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もしロシアがウクライナに勝ったら

  • ISBN:9784152104472

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内容説明

ドイツのNo.1ベストセラーを緊急刊行! 解説:奥山真司(地政学・戦略学者)
軍事・安全保障のエキスパートが圧倒的なリアリティで描く、
ウクライナ戦争後の「起こりうる未来」

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南クリル諸島(北方四島)をめぐる問題を考えれば、これは日本の利害にも関係する。ロシアがこれらの島を問答無用で自国の領土と宣言するのを、さらには中国が尖閣諸島を制圧し、軍事力に訴えて自国の要求をのませようとするのを、何をもって押し止めることができようか。つまり、ウクライナ戦争でロシアが勝利すれば、欧州だけでなく、アジアでもパンドラの箱が開くことになる。本書のシナリオは日本の読者にとっても対岸の火事ではないのだ。(日本版序文より)
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2028年3月27日未明、ロシア軍がエストニアの都市ナルヴァとバルト海のヒーウマー島を占領。バルト三国への攻撃が始まった。
2025年にウクライナ戦争が終結して以来、軍備増強という問題から目を背けてきたNATOは、ここへきて防衛能力不足があらわになる。一方ロシアはプーチン前大統領の悲願であった「歴史的使命」を完遂すべく、西側諸国への軍事的エスカレーションを着実に進めていく……。
はたしてNATOは結束して行動を起こせるのか? 不穏な動きを見せる中国の狙いは? そして、世界は核戦争へと突入してしまうのか?

【目次】
第1章 バルト三国、数年後の未来
第2章 ジュネーブ・国際連合欧州本部「パレ・デ・ナシオン」――三年前
第3章 風向きの変化
第4章 モスクワの雪解け?
第5章 ジュネーブ後のウクライナ――混迷
第6章 限定的な防衛能力
第7章 計画
第8章 マリ共和国キダル、2028年2月2日――ゲーム開始
第9章 ブリュッセル、2028年2月5日――撒かれたエサ
第10章 南シナ海、2028年2月28日――盟友の間接支援
第11章 シアトル、2028年3月26日――急報
第12章 ベルリン――2028年3月27日、4時20分(CET)
第13章 盗聴防止策が施されたビデオ会議――2028年3月27日、8時30分(CET)
第14章 モスクワ――2028年3月27日、九時(CET)
第15章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月27日、一4時(CET)
第16章 ワシントン・ホワイトハウス――2028年3月27日、一4時15分(CET)
第17章 80°49′35″N 66°27′30″W / 80.82639°N 66.45833°W――2028年3月28日、12時27分(CET)
第18章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月28日、16時(CET)
第19章 トヴェリ州ルジェフ(ロシア連邦)――2028年3月29日、9時(CET)
第20章 モスクワ/北京、2028年3月30日――新たな中心
解説/奥山真司(地政学・戦略学者)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いたろう

53
ドイツの大学教授によるシミュレーション。ロシアとウクライナの戦争が、どのように終わるかという点では、トランプ大統領が見放したことで、ウクライナは、和平条約という名の降伏条約に応じざるを得なくなり、ロシアに占領された領土を放棄する、というのは、誰もが予想する範囲内だろう。そして2028年、ロシアがバルト三国・エストニアのナルヴァに侵攻するというのは、シミュレーションというより小説に近いが、とは言え、全くの絵空事とも思えない。その際のトランプ大統領の発言と、それによるNATOの対応は、十分あり得る話に思える。2025/08/11

メタボン

21
☆☆☆☆ あり得ない想定かもしれないが、ロシアがNATOとアメリカを試すように、局地的な領土侵犯を行ってきた場合、西側諸国としてどう対処すべきかを考える、特にアメリカの支援なき場合に、NATOだけで対処できるよう準備するという点では、示唆に富むシミュレーションだと思う。ウクライナ問題は日本にとって対岸の火事ではなく、中国の動きを想定しておく必要があることを認識させられた。NATOの第5条に基づく集団防衛義務は発動するものなのか注視。2025/07/30

Yoshihiro Yamamoto

2
A- 私の中では「ミンスク合意」を果たさず、東西ヨーロッパの緩衝地帯ウクライナをNATOに加盟させようとしているゼレンスキーが戦争の元凶であり、早くウクライナが降伏して、平和な世の中が来ればいいと単純に思っていた。しかし、この本の「時間はロシアに味方する」、つまり、選挙のないロシアの方が、戦争の長期化により「嫌気がさす民衆」という脆弱な基盤に基づく民主主義に最後は勝つという指摘を読んで、考えが揺らぐ。以前、プーチンがブッシュ大統領だったがに「民主主義は選挙があって大変ですね」と語ったという言葉を思い出す。2025/08/13

ゼロ投資大学

2
2022年に行われたロシアによるウクライナ侵攻が、2025年にロシアに奪われた土地がロシア領となる事実上のロシアの勝利で終わった場合の未来の話。2028年にロシア住民の保護を大義名分にロシアがNATO加盟国に侵攻したケースをシミュレーションする。NATOは加盟国が侵攻された場合は一致結束して軍事行動で反撃することが原則であるが、一地域のためにロシアと全面的な軍事衝突に発展することを恐れたNATO加盟国の反撃断念により、NATOは事実上の無力化をしてしまう。2025/08/03

O次郎

2
架空戦記的な雰囲気だが、その内容は現実的かつ良い意味で悲観的。日本ではまだまだ軍備=自発的な戦争という印象が強いが、今や日本は1938年の英仏と同じ立場、場合によっては中国やポーランド、チェコスロバキアのいることを自覚すべきなのだろう。ただし、このような議論の行き過ぎは軍拡のエスカレーションを招くのも確かだ。軍拡をコントロールしつつ、いかに侵略に備えるか。答えのない問いだが、私たちはそのことを真剣に考えざるを得ない立場に置かれていると再確認した2025/07/19

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