内容説明
文政(一八一八~三〇)のころになるが、吉原「松葉屋」の花魁薫(かおる)は、狂歌や戯作(げさく)で当代第一級の名士であった蜀山人(しょくさんじん)(大田南畝(なんぼ))が、
全盛の 君あればこそ この里は 花もよし原 月もよし原
という頌歌をささげたほどの遊女だ。
当時の遊女は、現在の娼婦とはすこし違う。酒席に侍“遊び女”ではあるが、教養も諸芸もなみなみならぬトップレディーである。この薫という遊女の才知の数々は『傾城(けいせい)問答』とか『青楼(せいろう)美人鏡』などにくわしいが、その中でももっともこの遊女の面目を発揮している逸話は、お忍び登楼して来た津軽越中守寧親をもののみごとに袖にした話であろう。(本文より)
感想・レビュー
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ゆずこまめ
2
強くて明るい女性達。暗い面には目をつぶっているのか本当に理解していないのかわからないところはあるけど、これはこれで楽しい。2025/06/13
Go Extreme
1
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