内容説明
自ら命を絶った青年が残したという1冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は、かつての教え子から依頼を受け、俳句の解釈を進める。沖縄の情景を描いた句を読み解いていくうち、恐るべき秘密が浮かび上がってくる(「皐月闇」)。遊廓で蝶のような花魁たちと遊ぶ夢を見る男の末路、広い庭を埋め尽くす色とりどりのキノコがもたらす幻覚。静かに忍び寄る恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する3編を収録。著者真骨頂のホラーミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
レモン
40
ホラーよりミステリー色が強かったため、『秋雨物語』よりさらに読み進めやすかった。『ぼくとう奇譚』は想像すると気味が悪く、ホラー耐性が今よりない頃に読んでいたなら数日夢に出てきそう。『皐月闇』の読者にピンと来させるよう、徐々に真相に近づいてくる展開も堪らない。あれだけのことをしてもまた忘れ去られると思うと、痛快さより虚しさが勝ってしまうが。なんだかんだでずっと怖がりながらも著者既刊本をほとんど読めているので、『さかさ星』をスキップするかで迷っていたがトライしてみようか。2026/02/10
ちょん
29
(19冊目)蜷川実花さんの写真見てるみたいに鮮やかなお話だったなぁ。「ぼくとう奇譚」と「くさびら」が特に美しい。映像でも見てみたいと思ってしまう。キノコのミステリーサークル🍄2026/01/24
Porco
24
全体的にミステリの色と俳句,遊郭,狂言と和の要素が強い。【皐月闇】2人の入れ替わりで行われる俳句の解釈による謎解きに挟まる、老人作田の猜疑心や暗い感情の発露はまさに不穏なホラー。【ぼくとう奇譚】時代小説作家のような小物や用語を配置し、グロテスクで苦い結末にゾッとする。【くさびら】突如現れたキノコの幻覚の秘密。前二作品と異なり主人公自身は善人だったり2人の霊能力者だったりシリーズものの短編作な印象。三作とも巧みな文章力が光るいい怪談でした。2025/10/06
Yu。
23
俳句に隠された真実が顕になる毎にスリル度が増す「皐月闇」。奇妙な夢に悩まされる男の末路にあっぱれ「ぼくとう奇譚」。幻覚か否か‥ 一見気味の悪い現象を紐解くと哀しくとも愛情をも感じられる「くさびら」‥ といった見事な大技逆転劇に魅せられる三篇の貴志ワールド。。俳句・蝶・きのこ‥と、素材がどれも個性的でとても良かったですが、人と虫とのコラボが絶品の「ぼくとう奇譚」。色で危険等を知らせるという、きのこあってのストーリーに感動すら覚える「くさびら」 の二編は特に印象深い.𖥔 ݁ ˖༘⋆𐦍⊹₊ ⋆⋆。˚ⱄⰔⱖⰦ2025/09/28
JADE
21
久しぶりにゾクゾクしたくって貴志さんを手にしてみたけど、うーん、どうもイマイチ合わなかったかなぁ。どっちかっていえば「秋雨物語」の方が好みだった。俳句の解釈についていけなかった「皐月闇」、遊郭の夜の蝶たちの「ぼくとう奇譚」、キノコだらけの「くさびら」の3篇。どれも蘊蓄がすごくって、へぇ、ほぉ、と読み進めると、最期にゾクッとさせられる。ミステリっぽさもあって、そっちでも楽しませてもらえたけど、やっぱりのりきれなかった。ただ、貴志さんの博識ぶりには、作家さんってすげぇやと感心させられた。☆3.52025/10/09




