創元文芸文庫<br> ナイフ投げ師

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創元文芸文庫
ナイフ投げ師

  • ISBN:9784488805067

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内容説明

天才的な腕前を誇るナイフ投げ師が、私たちの町にやってきた! 彼の名はヘンシュ。それまでいかなるナイフ投げ師も越えなかった一線を越えたことで、その名声を築き上げたのだ。公演の日、噂に聞いたヘンシュの投げ技は、徐々に趣向をエスカレートさせ……(表題作)。夜、私たちの町では、少女たちの秘密結社が妖しい儀式を開くという。風聞や関係者の証言によっても、結社の真の姿は判然とせず……(「夜の姉妹団」)。自動人形、空飛ぶ絨毯、地下世界――精密な文章により現実から飛翔するミルハウザーの魔法のごとき十二篇を、名手の翻訳で贈る。/【目次】ナイフ投げ師/ある訪問/夜の姉妹団/出口/空飛ぶ絨毯/新自動人形劇場/月の光/協会の夢/気球飛行、一八七〇年/パラダイス・パーク/カスパー・ハウザーは語る/私たちの町の地下室の下/訳者あとがき/創元文芸文庫版訳者あとがき/解説=藤野可織

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

marty@もぶおん学

3
多くの読者がそうであろうように米澤穂信氏の『栞と噓の季節』で紹介されていた「夜の姉妹団」が気になって手に取る。同作含め、何とも感想が難しい短編集。いずれも大どんでん返しの結末があるわけでも、読後感が良いわけでもない。しかし、人間が他者や娯楽へ向けるある種の期待ーポジティブな意味であれネガティブな意味であれーというものは裏切られるものだし、裏切られたその先に案外真理はあるものだ、というような寓意が込められているように思いながら読んだ。所収作の中では「ある訪問」が一番印象に残った。2025/08/23

Ryo0809

2
12編の短編集。どれも現実と夢幻が混ざり合って、どこまでも飛翔するようで着地する。その独特の世界観を精緻に表現する作者の筆力、想像力にひたすら驚く。どこまでも研ぎ澄ませてゆくと、ある時、一気に飛翔する。ハラハラする飛翔感は現実離れしながらも、合理的に着地して緊張感から解放される。こんな小説は読んだことがない。魔術に出会ったみたいだったが、十分に楽しんだ。2025/08/02

Yuuki Oda

0
極めて短期間に10年分の夢を見たような、精緻で幻想的な12の短編集。 最先端のデパート、規格外の遊園地、芸を極めたからくり人形、しんしんと照らす月の光、子供が使える空飛ぶ絨毯に、縦横無尽な地下通路。 どれもが奇想天外なのに、懐かしさも感じる魔法のような文章。 そこにおびただしい量の(しかも研ぎ澄まされた)大量のマテリアルが次々並びます。 万物が集まり雑多に混ざり合いながら、時には風景美を、時には造形美を。人ひとりの想像力を無限に引き伸ばすデザインと、飽くなき冒険心を生み出す、素晴らしい作品群。2025/08/18

迦陵頻之急

0
ミルハウザー短編集は「バーナム博物館」以来の二冊目。米澤穂信「栞と噓の季節」に、収録作「夜の姉妹団」への印象的な言及があったので読む。思春期の少女たちが集う秘密結社が抱える最大の秘密、それは「秘密など何もない」という事だった。大人の男たちが巡らすスキャンダラスな憶測と疑惑への強烈なカウンター。その他、いずれも幻想的な趣向の凝らされた短編群だが、どれも日常と地続きで、淡々とした日常感覚のまま語られる。途方もなく巨大な百貨店や遊園地、地下都市といった大掛かりな設定の話も、きわめて静謐な叙述に支配されている。2025/08/03

のりたま

0
久々に読んだミルハウザー。ちょっと久しぶり過ぎて、難解に感じながら読んで行くと、途中からピントが合い、そこからはミルハウザーの見事な想像世界を堪能出来た(気がする)。ミルハウザーの作品それ自体が、精巧に作られた工芸作品の様だ。「新自動人形」「協会の夢」「パラダイス・パーク」が良かった。2025/07/31

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