ちくま新書<br> 新しいリベラル ――大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」

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ちくま新書
新しいリベラル ――大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」

  • ISBN:9784480076922

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内容説明

実は日本には「新しいリベラル」と言いうる人々が存在することが、7000人を対象とする社会調査から浮かび上がってきた。この人たちが求めるのは、私たちの「成長」をサポートする政治だ。「新しいリベラル」は最多数派を占めるのに、これまで見落とされてきたのはなぜか? 「従来型リベラル」や保守層など他の社会集団と比較しながら、「新しいリベラル」が日本政治に与えるインパクトと可能性を示す。「新しいリベラル」の実像と可能性を明らかにした、初めての書!

目次

はじめに──見えてきた「新しい」リベラルの姿/本書の構成/第I部 これまでのリベラル/第1章 衰退しつつあるリベラル? /1 人々からの支持を失ったリベラル? /リベラル政党の支持率の推移/社会運動へ参加する人々/人々は反リベラル化したのか? /2 民主党政権とその後のリベラル/3 リベラルへの批判を検証する/4 保守に取り込まれたリベラルな価値/5 朝日新聞の従軍慰安婦報道/6 憲法9条を死守する護憲リベラル/7 集団自決をめぐる歴史認識/8 従来のリベラルの衰退? /第2章 「保守vsリベラル」はどこまで有効か? /1 「保守vsリベラル」図式とは? /2 「保守vs革新」からの継承/3 政党間の対立軸はどこまで説明できる? /4 有権者にとっての有用性/5 「保守vsリベラル」図式は有効か? /6 見えにくくなったリベラル/第3章 旧リベラルとは何か? /1 それはいかなる立場か? /2 90年代に発見された日本のリベラル/3 55年体制と江田ビジョン/4 旧リベラルの「根幹」と「枝葉」/第4章 旧リベラルを支える思想/1 憲法9条改正反対論者の非武装中立論/2 日米安全保障条約への反対/3 天皇制反対/4 従軍慰安婦問題/5 革新の純血主義/6 戦後民主主義について/第II部 新しいリベラルの全体像/第5章 その理論と思想/1 社会的投資国家の起源/2 「第三の道」というビジョン──ギデンズ/3 「福祉革命」の提唱──エスピン‐アンデルセン/4 「新しいリベラル」の政治理論──ベラメンディ/5 イノベーティブな「社会的投資国家」論──マッツカート/6 「資本主義の精神」衰退への処方箋/7 未来社会への投資──社会的投資国家の理念/第6章 それはどんな人たちか? /1 可視化のための研究戦略/2 理論的な枠組み/3 調査からみえてきた六つの社会層/4 新しいリベラルの基本的特徴/第7章 新しいリベラルを取り巻く五つのグループ/1 残り五つのグループ、それぞれの特徴/従来型リベラル/福祉型保守/市場型保守/成長型中道/政治的無関心/2 六つのグループ、それぞれの人物像/第8章 新しいリベラルの政治参加/1 投票行動を分析する/2 新しいリベラルとはどんな人たちか? /第9章 新しいリベラルが作り出す「新しい」政治/1 新しいリベラルが日本政治を大きく変える? /2 連合を作る責任倫理/3 新しいリベラルへの批判に答える/4 リベラル全般に対する批判に答える/5 戦争と平和と新しいリベラル/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

30
7000人を対象とする社会調査から浮かび上がってきた日本の「新しいリベラル」と言いうる人々。その実像と可能性を明らかにする1冊。これまでのリベラルが人々の支持を失い、リベラルな価値が保守に取り込まれ勢いを失いつつある中、見えにくくなった従来のリベラルの存在。旧リベラルの流れや思想を改めて明らかにしていく一方で、台頭してきた再分配ではなく社会的投資型の社会福祉政策を期待して戦後民主主義にコミットしない、子育て世代を中心としたグループの影響力は確かに興味深かったですが、割合は従来型の説明がやや多かったですね。2025/07/09

まゆまゆ

15
政治的思想で保守の対極とされたリベラル思想がかつてのリベラルとは異なることを紹介していく内容。リベラル派が支持しているとされたかつての民主党は、立憲民主党になってやや保守的になり、自民党も福祉政策を積極的に取り入れるようになったことで、いわゆる左と右から両党とも中道に寄りつつある。弱者支援ではなく成長支援、老人福祉ではなく児童福祉へと変遷している、と。2025/07/30

msykst

14
再分配から投資にリベラルの軸を転換する、という話かと。現状では、リベラルを定義しようとする時、「保守に対する対抗」以上の積極的な意味づけができていない。しかし世の中には、既存の政治言説が捕捉できていない「新しいリベラル」と呼ぶべき層が存在しているのであり、それを可視化し、分析し、あわよくば組織化しようという試みだと思った。既存の政治的な対抗軸において、なぜリベラルの受け皿になる政党がないのか(というかなぜリベラル政党が負け続けるのか)という分析は面白かったし、自民党ってやっぱ政治巧いんだなと普通に思った。2025/06/18

羊山羊

13
最初に言っておくが、「何らかの結論」をこの本に求めてはいけない。何に配慮してるのか知らないが、結論は茫洋としていて実にグダグダである。そのうえで、本著は、日本に今現れていると主張する、社会的投資国家を支持する「新しいリベラル層」を大規模アンケートを用いて浮彫にしてゆく。以前読んだ「新しい階級社会」より、こっちの方が実状に沿っている部分は大きいのではないかと思う。本著の注目すべき点は、保守VSリベラルで必ず語られる、民主主義などの政治的立ち位置について、「新しいリベラル」は無関心な人が多い、ということだ。→2025/09/17

波 環

9
なんで自民党が調子悪いのかをデータで示せる本2025/08/16

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