内容説明
口がまわらず、誰にも言葉が届かない。歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろと呼ばれ、蔑まれた第九代将軍・徳川家重。常に側に控えるのは、ただ一人、彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓・兵庫だった。「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」――。二人の絆を描く、落涙必至の傑作歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
この作家さんは初めてですが、この本は単行本で気になっていたのですが最近文庫なったので手に取ってみました。徳川吉宗の長男がコミュニケーションに障害があるものの、それを理解する人物が出てきます。この二人を中心として将軍になるまでをうまく周りの人物を交えて読ませてくれます。私はこの人物を田沼意次だとばかり思っていたのですが違っていたのですね。ほろりとさせてくれます。2025/06/19
けやき
50
生まれながらに言語に障害がある9代徳川将軍家重とそれを唯一理解できた大岡忠光の主従の物語。心温まるお話でした。2025/06/24
エドワード
47
徳川吉宗の長男・徳川家重は言語不明瞭かつ襁褓を常用、九代将軍の座が危ぶまれていた。徳川家康が定めた長幼の序の家訓の手前、幕閣は揺れていた。そこへ、家重の言葉を解する小姓の大岡兵庫(忠光)が現れる。家重と兵庫、正室・比宮の間の魂の交流が描かれ、家重の澄んだ瞳、誠実な心が胸を打つ。家重の長男・家治の聡明さを鑑み、吉宗は家重を九代将軍とする。だが家重の言葉を大岡忠光のみが伝えることは問題を孕む。実質的な側用人である。家重が将軍職を全うし家治が将軍に就いた時、田沼意次が老中となる。「べらぼう」の時代の始まりだ。2025/07/15
もえ
42
2年前に図書館司書をしていた頃、本書は利用者さんに大人気だった。今回文庫版が出たので読んでみたが、やはり面白い。出産時の事故で言語や排尿、四肢障害で生まれた 九代将軍徳川家重と、唯一家重の言葉を理解できた大岡忠光の友情と絆の物語に忽ち惹き込まれる。現在放映中の大河ドラマ「べらぼう」前夜の話でもあり、十代将軍徳川家治や若き日の田沼意次、松平武元の登場にも心踊る。「将軍職は、友がおらねば務まらぬ」家重の父である八代将軍吉宗の言葉が胸を打つ。何も知らずに嫁いだ比宮が家重と次第に心を通わせていく様が好きだった。2025/10/03
Walhalla
33
九代将軍・徳川家重と、その側近であった大岡忠光との物語です。将軍家の継承者として、かつ障がいのある人として大きな覚悟と運命を背負う家重と、生涯をかけて2つの教えを守り抜く忠光とが、二人で歩んだ日々がとても感動的です。お恥ずかしながら、忠光もそうですが九代将軍の名前も知りませんでしたが、私自身、学ぶことも多くこれは読んで良かったと思える作品でした。(Audible)2025/12/03
-
- 電子書籍
- 死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱…




