内容説明
「雨は、なぜ降るのだろう」。少女時代に雨の原理に素朴な疑問を抱いて、戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代から、科学の道を志した猿橋勝子。戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげた。その生涯にわたる科学への情熱をよみがえらせる長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katsukatsu
10
科学者、猿橋勝子の研究に打ち込む姿を描いた物語。勝子が科学に興味を持つようになった頃、戦時中、気象台の職員として働き始めた頃、ビキニ事件で放射能測定にあたった頃、放射能汚染調査をめぐってアメリカに渡った頃、4つの時点を捉えて、勝子の活躍する姿が描かれます。科学が示すのはただ一つの真実だけという勝子の言葉に胸を打たれ、女性科学者のパイオニアとして生きた勝子の姿に心躍り、面倒くさい人と言われながらも、科学という言葉で理解し合うことを目指した勝子の想いに感動しました。勝子のひたむきな生涯が心に響く一冊でした。2025/08/07
ルカヲ
4
女性科学者の先駆けとして戦争の時代を生きた猿橋勝子さんを主人公に据えた科学歴史小説。 まさに、「ペンは剣よりも強し」という言葉がよく似合う生き様。でも科学の力を人を打ち負かすことではなく人を守ることのために、盾のように使おうと努めた葛藤や矜持が伝わってきた。 戦後80年の今、8月にこの小説を読めて良かった。 小説を読まない人たちにも、いつか映像作品として伝わってほしいと思うような作品だった。 BGMは風立ちぬオリジナルサウンドトラック。2025/08/02
TAKAHIRO | Vlogger
0
⭐️⭐️⭐️⭐️2025/08/02