文春e-book<br> 菊池寛アンド・カンパニー

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文春e-book
菊池寛アンド・カンパニー

  • 著者名:鹿島茂【著】
  • 価格 ¥3,600(本体¥3,273)
  • 文藝春秋(2025/06発売)
  • ポイント 32pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163919881

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内容説明

ベストセラー作家にして、100年つづく企業を創ったベンチャー起業家、菊池寛。

高名な文人を祖先にもつ家系ながら、維新で没落した士族の家に生まれた菊池寛は、
家計が厳しく、何度も人生の遠回りを余儀なくされた彼が、念願の旧制第一高等学校に入学したとき、すでに23歳になっていた。

その一高の寮で、芥川龍之介、久米正雄、成瀬正一など、文学を愛する仲間たちと出会う。ところが、寮でマントが盗まれた事件に巻き込まれた菊池寛は、一高を自主退学。

ひとり孤独な日々を送る菊池寛に、小説を世に問う場を与えたのは、一高で出会った仲間たちだった。

「恩讐の彼方に」「真珠夫人」などを発表して、一躍、文壇の最前線に躍り出た菊池寛は、大正11(1922)年、「私は頼まれて物を云ふことに飽いた」と宣言。若い仲間たちと新しいメディアの創設に乗り出す。

「厚くて高い雑誌よりも薄くて安い雑誌が売れる」と見抜くマーケティングのセンス。
編集後記を双方向メディアとして使い、読者とのコミットメント(関わり)を強化。
読者に予約購読を呼びかけ、一種のクラウドファンディングとして資金を調達。
大きく広告をうって、部数増→定価引き下げ→さらなる部数増、という好循環を狙いつつ、広告効果の検証も怠らない。
菊池寛は、現在のビジネス戦略にも通じる施策を、次々と展開していった。

渋沢栄一、小林一三など、近代日本の傑出したイノベーターを描いてきた著者が、新たな視点で描き出す、「100年前のネットメディア」を生み出した菊池寛と。それを取り巻く仲間たちの姿。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

115
鹿島茂が伝記を書いたユゴーやバルザック、ナポレオン三世に渋沢栄一らは、激動の時代に思うがままに生きてやりたいことをやった人物ばかりだ。菊池寛も貧家に生まれ教育を得るため平気で不義理を重ね、持参金目当てで結婚しながら何人もの愛人を抱え、作家でありながら自ら出版社を創立するなど破天荒と呼べる生き方を貫いた。並みの伝記作家なら言動の誤りや歴史的な意義を考察するところだが、奔流に流される姿を筆の走るままに描き出すのが鹿島流だ。机の前で思い悩む貧血気味の知識人よりも、懸命に生きて名を残した生涯こそ人を魅了するのだ。2025/08/05

buchipanda3

97
作家であり、文藝春秋社を創業した菊池寛の評伝。知るのは業績ぐらいで、その人となりはどんなものだったか前から興味があったので手に取った。題名のカンパニーは会社と仲間を掛けたものだそうで、文藝春秋社の社風のルーツ、そして芥川・久米など文学同人との深い縁を切り口として菊池寛の人物像を分析していた。学生まではジグザグな人生路で無茶というか危なっかしい。でも文学が道を拓かせ、出版者へ。事業向きの合理的普遍思考の持ち主だが、人との関わりは無骨で人間味を感じさせる。それ故かかつての仲間らは彼の出来事を数多く書き残した。2025/07/06

RedDirtMarijuana

2
書名にあるカンパニーのダブルミーニングの元ネタはシェイクスピア・アンド・カンパニーだが更にその参照元としてアポリネールがある。そのアポリネールがブルトンとスーポーを引き合わせてシュルレアリスムを孵化させたように、菊池も横光と川端を出会わせた。そんな新世代のために菊池は単なる"仲間"を脱した"会社"を必要としたわけで、鹿島茂の名付けのセンスに舌を巻いた。2025/08/09

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