内容説明
小雨降る4月の晩、作家・舟倉按は知己の編集者から『文学的自叙傳』の執筆を依頼される。実家の焼失、父の失踪、震災。巡る記憶の果て、その「マイ・ブック」はloueを語りうるのか? たくらみと愛にあふれる、芥川賞受賞第1作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
177
鈴木 結生、2作目です。芥川賞受賞第一作、著者が、文学、芸術、音楽に造詣が深いのは解りますが、完全自己満足&自己陶酔小説、売れない芥川賞作家まっしぐらです。 https://publications.asahi.com/product/25379.html 2025/07/10
シナモン
98
難しかったー。独特な文体に苦労しながら置いてかれないように必死に読む。どれくらい理解できたか怪しいけど、漂う知的な空気感が好きな感じの一冊だった。ー本当の人間関係というのはネタ切れから始まるのだ(P55より)2025/07/06
踊る猫
30
ぼくの怠慢・無教養を差し引いても、たぶんにこの小説とぼくとは「不幸な出会い」なのかなと思う。実に知的なたくらみや仕掛けを精巧に凝らした1作であることは疑い得ないけれど、あくまで「ぼくは」その知性が勝ちすぎて仕掛けどおりに書かんとするあまり、小説自体が著者の手を離れて肉感的にこちらを魅惑する運動を開始する契機を見失っているのではないかとも思うのだ。著者が込めた思いをおそらく半分も読み取れていない不肖の読者の戯言ではあるが、ただ思いの詰まったメッセージ以外の「余剰」も読ませるふくらみに欠けてギスギス感を感じる2025/10/05
メタボン
27
☆☆☆☆☆ 読書家にとっては愉悦をもたらす小説。英文学、英語の造詣が深いからこそ書ける技(loveの古語loueの扱いなど)。この若さでこれだけ書けるのは末恐ろしい。ファンタジー作家の按の語りを通じて、作者の小説技法を感じられるところは大江健三郎っぽいし、文学のテクストを換骨奪胎していくところは丸谷才一を想起させる。追い続けたい作家。2025/07/14
えも
25
芥川賞「ゲーテ…」の受賞第一作。この人は本当はこういう物を書きたかったんだ。つまり芥川賞受賞作はかなり相手側に寄せていて、ホントはもっとマニアック!▼序盤のあたりは、中井英夫みたいなペダンチックさが逆に可愛いし、後半の、失踪した父親を探すあたりは家族ミステリ風でほっこり▼たまたま私は好きですが、一般的には前半で挫折しそうな、読者を選ぶ作風でした。2025/08/28




