ちくま文庫<br> 傷のあわい

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ちくま文庫
傷のあわい

  • 著者名:宮地尚子【著者】
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 筑摩書房(2025/06発売)
  • 光る紫陽花!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~6/7)
  • ポイント 175pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480440150

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内容説明

米国で何者かになろうと海を越えた青年、夫の海外転勤に合わせて渡米した女性、人生に詰んで海外へ拠点を移した男性──。異国の地で、不安定さや傷つきに揺れながらも、そのとき成しえる最良の力で人生にぶつかっていく。その語りに、若き日の著者が耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えた記録。解説 奈倉有里

目次

文庫版まえがき/はじめに/孤独の物語/アメリカン・ドリーム/移民候補生/リミナリティ/PTSD(前編)/PTSD(後編)/ステレオタイプ/恋愛と結婚/邦人援護/二〇歳の人生落伍者/謎の女/パレスチナ/レクイエム/GOOD BYE=THANK YOU/あとがき/解説 ひとりひとりの顔が見える 奈倉有里

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

91
2002年に『異文化を生きる』として出版された著者初の単著の文庫版。精神科医である著者が、ボストン在住の日本人を対象に行ったメンタルヘルス調査をもとに、海外で生きる日本人の「語られざる物語」を描く。渡米の背景には、日本社会での息苦しさや孤独があり、文化的摩擦や語学の壁に苦しむ人々の姿が浮かび上がる。うつ病や適応障害などの診断名では捉えきれない「傷のあわい」に焦点を当て、人生の選択や別れ、再生の可能性を静かに見つめる。巻末にはロシア文学研究者の名倉有里による解説を収録。2025/10/23

ネギっ子gen

73
【デビュー作には、その後の作品のすべての要素が含まれているというが、確かにそうかも……】異国・ボストンという地で、悩み苦しみながら自らの人生を生き抜く若者の語りに耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えたミニ・エスノグラフィー。2002年刊「異文化を生きる」(星和書店)を改題し、加筆し25年に文庫化。ロシア文学者の奈倉有里は解説で、<読みはじめてからなんだかとても好きな文章だと思い、一日一章と決めてゆっくりと読み進めた>と。同感。わたしも図書館本で読み始めたのだが「これは蔵書に!」と本屋に走った―― ⇒2026/04/05

@nk

45
精神科医である宮地尚子。彼女の初の単著として2002年2月に出版され、 ちくま文庫から改題を経て2025年4月に出たのが本書。/1990年前後のボストンに住む日本人。彼ら彼女らの個人的な話が医療人類学の見方から(プライバシー保護の観点で脚色を混じえつつ)綴られていたのは、「渡米」という言葉の輝かしい響きに埋もれがちな苦悩。とはいえ、夢を掴むためにアメリカへ、仕事での海外異動、渡米して生活を心機一転…などには無縁の私からすれば、そんな人たちにも色々あるんだね、という軽い印象を受けながら読みはじめた。⇒2025/11/02

こばまり

42
人生で何らかの課題や不安を抱えた状態にありながらも、その対話にはどこか穏やかな雰囲気が漂う。読む者もまた、癒される思いがする。プライバシーの問題からフィクションとしているが、そのエッセンスは実在する人々であると思う。彼らのその後が気に掛かる。2025/05/04

ケイティ

32
とてもよかった。精神科医の著者がメンタルヘルス調査で、ボストンに住む日本人をカウンセリングしたエスノグラフィー。著者いわく「傷といわれるものの中でさまざまな濃淡や微妙な変化」という傷のあわいに、ただ耳を傾ける。寄り添いすぎず淡々としているが、誠実さとやさしさを終始感じる。気負いや不安や焦り、孤独から足元がぐらつき、倒れないように気を張る日々。20年以上前の話だが切実さは変わらず、異国でなくても他者と共生する社会そのものを細分化していくと、大なり小なり異文化に生きる感覚は誰にでもあるのかもしれない。2025/08/28

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