内容説明
DVから逃れた女性が迷い込んだのは、高齢者だけが身を寄せ合って生きる山奥の村だった──現役医師作家のメディカル・サスペンス!
夫のDVに耐えかねて札幌の自宅を飛び出した明日香は、道北の見知らぬ村にたどり着いた。7歳になる娘のリサといっしょに。村で匿ってくれたのは修造という高齢男性と、床に臥すハツの夫妻だった。修造は認知症なのか、明日香のことを孫娘と勘違いして「なっちゃん」と呼ぶ。近隣の住民からも温かく迎えられた明日香親子であったが、この村は何かがおかしい。住民は皆高齢で、しかもほぼ全員が認知症を患っているように思われるし、そもそも自立した生活が成り立っていないようなのだ。村まるごとが高齢者用施設ということなのか。老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……日本における「認知症のいま」を問う問題作。そして衝撃のラスト!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじ
18
この方の作品「感動した」って聞いたから、ヒューマンドラマ的なものを想像していたのですが、今作は完全にサスペンスでした。DV夫から逃れるため、主人公が迷い込んだのは認知症患者だけが集められた理想郷だった。徐々にそこで何が行われているか明らかに…最後まで読んで、様々な違和感に納得。もう何が正しいかわからない恐怖におののいています。#NetGalley2025/07/18
たいこ
10
認知症の患者や家族、彼らを取り巻く様々な問題などはとてもリアルに描かれていて、当事者である自分にとっても勉強になる部分があった。ミステリーとしてはどんどん気味悪さが背中に迫ってくる感じがたまらなくて、後半は一気読み。でも伏線はいろいろあったから驚きはなかったかな。アルツハイマーをアルツと言ったり、認知症をニンチと言ったりすることには反対したいです。2025/07/01
ゆり
7
アルツ村の正体がわかってくると、不気味で背筋の凍るような怖さに、読み進めるのを止めようかと何度か悩みました。しかしそれを超えるほどの面白さと、本当にこの村があるのではないかというリアル感で一気読みでした。明日香の違和感や登場人物の態度から正体はわかりましたが、その他のスタッフなどの正体には最後まで気づかず。海外からの日本の土地の買い付け、少子高齢化による介護人不足、ヤングケアラー、認知症の研究など、色々と学ぶことや考えさせられることが多かったです。 #NetGalleyJP2025/06/13
Micky
5
広大なリゾート地で暮らす“アルツハイマー“の人々。一見理想郷のような暮らし方にも関わらず何故か不穏な雰囲気をぬぐえない。家族に捨てられた「棄老の村」。しかし食事、医療など日常生活はそれなりに快適なものがある。コレなんか不安、ちと怖い。お金も取らない?、何が隠されている? アルツ問題に正面から取り組んだ本著作は綺麗事では済まされない医学的問題点として考えさせられる。 なお、最後に落とし穴がある。2025/06/21
ドットジェピー
3
とても考えさせられました2025/07/01
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