内容説明
地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路――。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果てなき世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。
目次
夢伝い
水族
エアープランツ
沈下橋渡ろ
愛と見分けがつかない
卵胎生
湖族
送り遍路
果てなき世界の果て
満月の街
母の自画像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
49
2008年から2021年にかけて小説すばるに掲載された作品をまとめた怪談集。執筆時期はまちまちでテイストもバラエティに富んでいながら、水が一貫したモチーフとして通底しているのが印象的。捨て去ったはずの過去から逃れられない因果応報や、人間の業の深さに嘆息する物語もあれば、闇の中にかすかな救いを見いだせるものもあり、読後感も多彩で興味が尽きない。派手な怖さというより。じわじわ迫りくる恐ろしさがあり余韻が深く残る。ここ最近読んだ怪異やホラー短編集のなかで、ダントツに読み応えがあって面白く満足度高し。2026/05/25
のぼる
11
『ザ•宇佐美短編集』読み終えるのが惜しくなる、とても好みの作品群。 2025/05/17
うーちゃん
10
怪奇短編集。良い季節に読んだな、とまず思った。全部ではないけれど“水”が背景に描かれている作品が多く、じっとりと湿っぽく、どんよりと陰鬱で、ぽたぽたと落滴の音が聞こえてくるようなイメージが、梅雨の時期にぴったりだった。男女の業が淫靡に希望なく描かれるところは岩井志麻子風味も感じる。お気に入りは「送り遍路」「満月の街」「沈下橋渡ろ」。2025/06/28
coldsurgeon
6
怪異を扱う物語は、時として人間の本質をあぶりだすような展開となり、面白い。表題作をはじめ、異界と現実世界との接点を巧み描き、話題というかテーマがとても多彩だ。パラレルワールドとは異なる、別な世界が隣接している気にさせてくれる。2025/06/17
美波
2
面白かった!ホラーなのかと思ったけど、ゾクッとするような怖いお話もあれば、ぐっと来るようなお話もあり。母の自画像が1番好き2025/05/25




