内容説明
“ありそうもないこと”を具象化した
グロテスクな犯人像に脳のざわめきが止まらない。
犯罪小説とフーダニットの区分を帳消しにする早すぎた傑作。
――法月綸太郎氏(作家)
風光明媚なノーフォーク海岸沿いの保養地イーストレップスで、老婦人が友人宅を訪れた帰りにこめかみを刺されて殺害される。
続けて第二、第三の殺人が同様の手口で繰り返され、街は謎の殺人鬼「イーストレップスの悪魔」の影におびえることに。
地元警察はついに有力な容疑者を確保するに至るのだが……。
意を凝らしたミスディレクションと巧妙なレッドへリング、白熱の裁判シーン、フーダニットとしての完成度。
映画『白い恐怖』原作者による、本格ミステリー黄金期の知られざる傑作を本邦初訳!(解説・塚田よしと)
探偵小説オールタイムベスト10のひとつ。
――ヴィンセント・スタリット(作家、シャーロック・ホームズ研究者)
鮮やかで独創的な連続殺人犯(シリアル・キラー)のフーダニット。
素晴らしい海辺の舞台設定と巧妙なツイスト。
――マーティン・エドワーズ(作家・評論家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
512
早すぎた傑作!と騒ぐほどの傑作ではない。ただしつまらなくもない。巧妙なレッドヘリングとか、フーダニットとしての完成度がどうのと背表紙のあらすじには書いてあるけれども、クイーンの国名シリーズに見られるようなフェアプレイ精神に則ったものではなく、終盤にいきなり明かされる決定的な物証は、事前に読者には示されておらず、ほぼその物証一発で事件が解決してしまうことを考えても、本格物としては見るべきものはない。犯人もわかり易く、早かったというよりも、たまたまこういうのもアリな時代に差し掛かっただけかと。2025/08/24
yukaring
82
とても読みやすいフーダニットの秀作。1930年代のミステリの発掘とのことだが、現代のミステリと比べても遜色ない面白さ。海辺の保養地イーストレップスで起こる謎の連続殺人事件。こめかみを刺された死体が次々と見つかり風光明媚な街は騒然とする。謎の殺人鬼は「イーストレップスの悪魔」と呼ばれ、状況は地元警察の手には負えない事態へと発展。被害者たちはなぜ殺されたのか?巧妙に張り巡らされた伏線やさりげない罠、白熱の裁判シーンはどこかアイリッシュの「幻の女」を彷彿させる。完成度の高いシリアルキラーものをとても楽しめた。2025/07/15
オーウェン
61
イーストレップス地方で起きる殺人。 同じ手口が連続して起こり、町は震撼する。 警察はいち早く解決しようと動くが、殺人は止まらず続く。 古典の作品だけど、現代でも全然通じる事件であり、犯人候補も二転三転して法廷になだれ込んでいく。 終盤真犯人の動きをばらしているが、それでも殺された方法や動機などもしっかり明かされており、現代に翻訳する意味があるミステリだ。2026/01/14
geshi
29
群像劇形式で描かれるシリアルキラー物のかなり典型的なパターン。1930年代の探偵小説全盛期に書かれたと考えると早すぎたという評価も頷けるが、シリアルキラー物が乱立した現代の読者からすると普通という印象。事件に対する町の住民たちの反応や警察官たちの捜査など色々な方向から見せるためとはいえ多視点の切り替わりが読みにくさを生んでしまっている。サスペンスっぽい読み口の部分や法廷物になる展開など手を変えて読者を引っ張り、意外な真犯人でサプライズを叩きつけるシリアルキラー物の原型のような作品だった。2025/06/21
M H
26
黄金期の隠れた傑作として紹介されている。のどかな保養地に跋扈するシリアルキラー、裁判そして意外な犯人とサクサク進む。登場人物が覚えづらいけど犯人の見当はつきやすい。動機はまぁまぁ現代的でわからなくはない、あ、嘘ですわかりませんトチ狂ってます。こんな話聞かされた人もかわいそうだよ。古典らしいあっさり目な処理が読み味的に成功している気がする。2025/08/14




