NHKブックス<br> 戦前日本の「聖地」ツーリズム キリスト・日蓮・皇室

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NHKブックス
戦前日本の「聖地」ツーリズム キリスト・日蓮・皇室

  • 著者名:平山昇
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • NHK出版(2025/05発売)
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  • ISBN:9784140912942

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内容説明

社寺参拝はいつから「神聖」になったのか

明治初期に「迷信」の色濃かった社寺参拝は、日蓮をキリストと同一視する人々によって新たに意味づけされ、神聖な行為とみられるようになる。次いで明治神宮の創建が熱狂的に受け入れられ、同調しない人が排除されるようになり…… 宗教・交通・メディアを融合させて描く、驚きの日本近代史。

【内容】
序 章 聖地の日本化
第一章 「日蓮と基督」 ――高山樗牛と田中智学の日蓮像
第二章 教養主義と日蓮ツーリズム
第三章 天皇崇敬の「宗教」化 ――大逆事件と天皇の代替り
第四章 明治神宮と渋沢栄一 ――意図せざる「聖地」の創出
第五章 「体験」と「気分」の共同体――大正期以降の伊勢神宮・明治神宮参拝ツーリズム
第六章 日蓮の「聖地」と明治神宮 ――田中智学による「聖地」の規範化と「明治神宮モデル」
第七章 「聖地」のセット化(I) ――橿原神宮と「三大神宮」
第八章 「聖地」のセット化(II) ――智学の「五大聖地」巡拝
第九章 「聖地」のセット化(III) ――大軌グループと「三聖地」
第十章 総力戦体制と「聖地」ツーリズム ――鍛錬と信仰

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

112
聖地巡礼とはキリスト教巡礼者に関する本で初めて知った。それが映画やアニメの舞台となった地を巡る話に転用されたと思っていたら、大正から昭和にかけて日蓮や明治天皇絡みのツーリズム用語とされていたとは。宗教か否かを問わず信仰対象のゆかりの場所を実際に歩くのは、教化を深める上で大きな力になると見抜いた田中智学の眼力は確かだが、ツーリズムの大衆化と皇室崇拝強化の国策が絡んで全国的なものとなった。それに参拝客欲しさの神社と鉄道会社の思惑が重なり一気に広がった経緯は、江戸の伊勢神宮参拝の流行から何も進化していなかった。2025/07/17

とり

6
かつての日本では「聖地」といえばエルサレムを想起し、キリスト教のイメージが強かった。しかし、明治に鉄道が開通し、鉄道会社が乗客率アップのために著名な神社への参拝に着目したこと、神社では参拝客の増加を望んでいたことから、著名な神社を「聖地」と呼んで聖地巡礼キャンペーンを行うようになってきた。鉄道を利用することで、複数箇所の神社を一日で参拝できるようになるといったことも売り文句として使われ、聖地といえばキリスト教というイメージが徐々に薄れていった。2025/08/06

jam

2
面白かった。神社仏閣が今のように「聖地」化したのは実はそんなに昔のことではなく、明治末期から日蓮主義で有名な田中智学が提唱し始め、徐々に神社+天皇への「信仰」と結びつき「聖地」化していく過程で本来そこに居場所があった病人や障害者が排除されていく。結局は軍国主義に傾倒していくきっかけになったようだ。ニッチに見えて重要な内容だと思った。2025/09/06

とんちゃん

1
あ、これって政治と宗教を結びつけて考える人々のマルクス主義嫌いの種じゃん2025/08/06

siomin

1
実際は「聖地」の言葉は戦前日本にどのように誕生してどのように発展してきたのかをまとめた一冊。とくに橿原神宮をいかに多くの人を参詣するのかに腐心していたようで,その時に一役買ったのが今の近鉄。路線網を充実させたことで伊勢神宮からの周遊が可能になったよう。伊勢神宮や橿原神宮の参詣を推し進めたいために国鉄の運賃を安くしろとしたり禁止されていたい参詣の写真撮影を許可しろとしたり,聖地の参詣のために無茶を通そうという姿勢はいかがなものなのか。2025/07/25

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