内容説明
大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞「大賞」受賞!
「私の二〇代は、この本を書くためにあったと言っても過言ではない。(中略)私は、彼が見た風景を少しでも追体験したかった。それは、私の中に、学術的探求心を超えた彼に対する愛があるからだろう。R・B・ボースの生涯は、私の人生の問いそのものであり、共感と違和感が交錯する複雑な対象でもある」(「あとがき」より)
一九一五年、日本に亡命したインド独立の闘士、ラース・ビハーリー・ボース。新宿・中村屋に身を隠し、西欧支配からアジアを奪還するため、オピニオン・リーダーとして活躍する。しかしアジア解放の名の下、日本軍部と皮肉な共闘関係に入っていく……。
「大東亜」戦争とは何だったのか? ナショナリズムの功罪とは何か? アジア解放への希求と日本帝国主義への依拠との狭間で引き裂かれた懊悩の生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
辻井凌|つじー
2
新宿中村屋のインドカリーに隠された革命と苦悩の物語。 日本に住む外国人をその中身ではなく「日本的か」で評価しがちな態度は、今も昔と変わらないかもしれない。 中学時代読んだ本を再読。2025/08/10
Go Extreme
1
生と死の区別を知らない 命のある間にやり遂げる 前途に死が待っていようと退かない インド独立党の首領 新宿といえば中村屋 日本にはまだないパン屋 亡命インド人を匿う重大さと秘密を守る必要性 アトリエ生活で相馬俊子との間にロマンス 皇国をして亜細亜の指導者たらしめんとする 近代における印度覚醒 白人禍の内幕 西洋の番犬になるのか東洋の忠犬になるのか 日本の帝国主義的姿勢がアジアの共存共栄の障害 対日不信やインド独立連盟幹部兵士との確執 チャロー・ディッリー 近代の超克 壮絶で困難な生涯2025/05/05