内容説明
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未来社会を生きるにあたって宗教はどのような力を与えてくれるのか。伝統教団の信者数は減少傾向にある。各地に伝わる宗教的行事も開催が困難となってきている。現代世界の随所に見られる敵意や憎悪に宗教的なアイデンティティが関係していることは疑いない。その一方で、たくさんの人がスピリチュアルなものに関心を寄せている。「聖地」に足を運ぶ多くの人がある。日々の暮らしの中に何かしらの「救い」を求める人の数はいまだその数を減らしていない。宗教は未来社会の人々とどう関わっていったらよいのだろうか。宗教にしかできない未来社会への貢献にはどのようなものがあるのか。未来社会における宗教と人間の可能性について探ってみたい。
目次
第1章 日本宗教の可能性――宗教が息づく文脈の探求
1 宗教よりも広く、宗教をその内部で育てる大きな問い
2 「霊的体験」の語りの文脈
3 日本人の宗教性の奥底に存する強い母性――河合隼雄の研究から
4 人間は「大地」を離れては生きていられない――鈴木大拙の「大地」の思想
5 おわりに――日本宗教の可能性
第2章 「宗教」とは何か――「信」の救済力
1 「宗教」の基本原理
2 「信仰」の構造
3 「救済」の構造
4 おわりに――悟後の修養
第3章 未来社会と宗教的実践――特に仏教の視点から
1 仏教が有する多様性
2 AIの登場と未来の社会
3 宗教とAI
4 宗教的実践の未来
5 おわりに――死について
第4章 宗教世界の対話と共生――〈世界の痛み〉が物語られる声に耳を澄ます
1 宗教世界の対話の営み
2 宗教間対話の三類型
3 日本人の宗教意識
4 死の自覚/大いなる生命との接触
5 宗教は物語を好む――自己閉鎖性を乗り超える
6 世界の痛み/深い河――〈痛み〉において開かれるグローバルな地平
7 おわりに――孤独の内奥から湧出する和解の在処
責任編者解題
引用・参照文献
責任編者・執筆者紹介
索引
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