内容説明
1945年の敗戦後、主体性をもたず権力や多数者にいとも簡単につき従う日本人の傾向をどう克服するか、が大きな課題として論じられた。だが、今もこの問題はなんら解決されていない。これほど根深く、空気のようにわれわれの精神を規定しているものは何なのか―それこそが、日本の「自然宗教」である。われわれの心性の背景をなす「自然宗教」とは、どのように生まれ、いかなる特徴をもつものか? なにゆえそれは、この国に「普遍的思想」が根づくことを阻害するのか? 民俗学、歴史学、宗教史、思想史など幅広い知見を渉猟してその淵源を探り、克服へのかすかな道筋を問う。渾身の書き下ろし。
目次
まえがき/第一章 無常観とニヒリズム──日本人の歴史意識/1 天皇の責任/2 ニヒリズム/3 歴史とはなにか/4 「感」から「観」へ/第二章 人間宣言──日本人と天皇/1 天皇とはなにか/2 天皇を支える国民感情/第三章 自然宗教──日本人の精神の基層になにがあるのか/1 神の「原型」/2 神を所有する人々/3 神を「僭称」する/4 共同体のための神々/第四章 「自然宗教」のはたらき──仏教と日本人/1 他国神/2 仏教と政治/第五章 普遍宗教の誕生──平等な救済原理/1 普遍的「創唱宗教」とは/2 末世/3 仏教受容の深化──『今昔物語集』のなかの仏教/4 法然の仏教/第六章 普遍性の喪失──自然宗教の逆襲/1 教団の形成/2 「自然宗教」の威力/3 現世主義/4 「浮き世」の成立/第七章 普遍性の再生──日本人は変われるのか/1 主体性とはなにか/2 特殊主義的性格/3 普遍性を回復する道/4 「想像力」の回復/5 浄土仏教の社会倫理/参考文献/あとがき
感想・レビュー
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紫草
Masatoshi Oyu
kitakama633
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