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内容説明
日本人は1日平均200グラムのウンコを排出する。欧米と比べて、日本は世界有数のウンコ排出大国といえる。ウンコは肥料の三要素のうち、窒素とリン酸を豊富に含む。リンの主要産出国である中国が禁輸に動き、ウクライナ危機も重なって、世界的な肥料不足が懸念されるなか、ウンコの価値が世界で評価され始めた。自動車燃料、発電、ロケット燃料として、下水熱を使ったビル空調や、冬場に凍結した雪を融かす熱源として、養殖海苔の栄養塩として、ウンコの活用分野は、想像以上に幅広い。日本経済の切り札「ウンコノミクス」の可能性を探る。
目次
第一章 迫るXデー――リン酸が足りなくなる日
第二章 ウンコ版「夜明け前」――バカにならない温室効果
第三章 再び「金肥」になる――ウンコの山は宝の山
第四章 夢洲(ゆめしま)はウンコ島――悲しき埋め立て処分
第五章 水産から半導体まで――生活を支える資源への回帰
第六章 ウンコは熱い――サステナブルな熱源
第七章 先進国化が絶った循環――ゴミになったウンコ
第八章 食糧輸入大国はウンコ排出大国――合わない養分収支
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuma Usui
20
ウンコの経済的価値に迫った一冊。江戸時代には金肥として売買されていたウンコも、近代化によりお金を払って処分する厄介者へと立場が逆転。しかし近年、円安や世界的な肥料需要の高まりを背景に、その価値が再評価されつつある。本書では、リンやバイオガス、熱エネルギーなど、ウンコ由来の資源に注目し、それらが日本国内でどのように活用され、今後どう展開しうるかを多角的な取材を通じて丁寧に描いている。中でも、リンは中国への依存が9割に達しており、地政学的リスクや食料安全保障の観点からも非常に考えさせられる内容だった。2025/06/14
活字スキー
20
今や国を問わず、持続可能な循環型社会のためにはあらゆる可能性を検討しなければならないことは明明白白なのに、人や家畜が日々排出する膨大な糞尿を問答無用で「廃棄物」として焼却、埋め立て処分してしまっていいのか。否!いい訳がない。資源小国日本において、自前で賄えるのはHENTAIとUNKOくらいのものであると認め、それを最大限活用することは、国の存続と繁栄のための絶対条件といっても過言ではないだろう。ボーッと流してんじゃねーよ!2025/05/06
とく たま
7
くそ 真面目な ウンコの話 😱 (_ _) 強く同意するし、ウンコ先進国になって欲しいね。コロナやソ連ウクライナ、米騒動の裏では、肥料なんかも枯渇の危機なんだ!2025/07/04
乱読家 護る会支持!
5
日本人は平均で一日200グラム、生涯で6.2トンのウンコを排出する。 しかし、たくさん排出するわりに、日本人はウンコの行く先には興味がない。 肥料、ハウスの加熱、雪国の融雪などの熱源、車の燃料としてのバイオガス、海苔の養殖、半導体、食品添加物、消化器など、ウンコによる日本経済の活性化を「真面目」に考える本です。2025/07/13
Go Extreme
5
食料安全保障の課題 化学肥料の輸入依存 リン酸資源の枯渇懸念 肥料原料価格の高騰 ウンコ、救いの主としての期待 プラネタリー・バウンダリーと栄養塩循環 下水処理場の静脈機能と動脈機能 年間7000万立法メートルの汚泥発生 脱水汚泥の焼却と温室効果ガス排出 江戸時代の屎尿、下肥としての資源循環 汚穢列車の記憶 リン酸の偏在と争奪戦 屎尿、汚泥の堆肥化 焼却灰の肥料利用への期待 下水熱利用のポテンシャル 消化ガス、バイオガスの資源化 輸入飼料による栄養分の偏在 ウンコ、「金脈」への転換の必要性2025/04/30