内容説明
銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる――。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見(いわみ)銀山の坑道で働き始める。山に穿(うが)たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰(からだ)を蝕(むしば)んでゆく……。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。(解説・北方謙三)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
49
安土桃山時代の石見国、石見銀山。貧農の娘、ウメは一家で逃亡中、銀山の喜兵衛に助けられ、一緒に暮らす。喜兵衛は銀山の全てを知る男。少女のウメは下働きから始め、夜目が利くので、間歩(鉱道)で銀を掘る。現実にあった銀山が、千早茜さんの筆致で描かれ、実にファンタジックな異世界となる。地図を逆さに見ると、石見国は大陸への玄関口だ。異国人のヨキ、青い目の龍、遊女たち、多彩な人々が銀山で暮らす。男は間歩で銀を掘り、女は生活を支える。時は流れ、ウメは銀堀の隼人の嫁となり子供を産む。銀山の人々から頼られるウメの生涯は尊い。2025/07/20
misa*
40
読友さん達大絶賛なこちらの作品。図書館で借りようと思ってたけど、手元に残しておきたくて購入。時代小説は過去にも1シリーズくらいしか読んだことなくて苦手意識が強かったけれど、すっごい引き込まれた。スマホで調べながら脳内で噛み砕いての読書は新鮮だったし、なんていったってウメの強さと女としての葛藤、愛、様々な想いが駆け巡ってきて、感想を書くのがとても難しい。最後の最後まで、ウメらしく生きていく様は、とても誇らしく思えた。とても素敵な読書時間だった。2025/07/30
Shun
36
時代はおよそ戦国末期から江戸時代初期、銀の産出に沸く石見銀山に一人の少女が逃れてくる。故郷の村は貧しく親と共に夜逃げしてきた少女ウメは、親とはぐれ孤独になりながらも偶然手にしたしろがね色の羊歯の葉が発する光に導かれたかのように銀山で働く山師・喜兵衛に拾われる。銀山に魅入られたウメもまた男の中に混じり銀堀りの道を歩むが、次第に女の身では避けられない障壁に阻まれてしまう。後にウメは銀山で働く男たちが毒に蝕まれ早死にし、女たちは子を産み次代へと繋いでいくという銀山の在り方を悟り、生きることの意味を求めていく。2025/08/13
まぁみ
29
素晴らしい作品。読後二人に贈りました。まさか銀山での生活を堪能出来るなんて思わなかったよお。ファンタジー色濃い中、史実や人間味を盛り込んだ傑作。ウメの強さも弱さも、ぜーんぶひっくるめて大好き。ウメを取り巻く男たちも好きだなぁ。千早さんのイメージがガラリと変わりました(個人の見解ね♪)。未読の方は読むべし!2025/08/16
マダムぷるる
24
これまで読んだ千早茜作品とは時代背景も舞台となる土地も違っていて、読み始めは戸惑った。江戸時代が始まるころの石見銀山が物語の舞台。なんといっても最後の龍のセリフが良かった。銀がなくなっても、光る何かを人は探す。毒を蓄えても輝きがなくては人は生きていけない。足掻きましょう、と。終始間歩という暗い穴や夜の風景が広がるのだが、真っ赤な躑躅、龍の水浅葱色の目、そして銀など色の表現が印象的に使われていたことは千早茜作品らしいところだった。ウメの波乱に満ちた生涯を描くこの作品、引き込まれた。直木賞、納得。2025/09/08
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