内容説明
広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開
英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
75
女性の苦悩と哀しみが繊細に描かれる。戦後、考え方が180度変わったことを嘆き教え子と口論する男は過渡期の象徴だろう。女性は違う。子供を抱える女性は自分のことだけでなくその日を生きなくてはならない。二人とも戦前は良家の子女だったのか、英語が話せ、海外生活の経験やバイオリンを習ったことがあったり。それが今ではうどん屋で働く、噂ではアメリカさんの愛人なのかも。佐知子の幾度も口にする今度こそアメリカに渡れる。トラウマを抱える娘は言動がオカシイ。母娘の身の上を案じ渡米を疑った悦子だったが、自身が佐知子と同じ選択を。2025/07/09
Roko
26
主人公の悦子は今は英国に住んでいます。長女の景子が自殺してしまって、その原因の一つは、自分が彼女を英国に連れてきてしまったことかもしれないと思ってます。父親が違う娘のニキは、景子の死についてそんなに責任を感じる必要はないとは言ってくれるけれど、それ以外の部分は、何かトゲトゲしい感じがしています。2025/06/03
どら猫さとっち
15
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロのデビュー作。彼の出生地・長崎を舞台に、戦後を生きる人たちを描いた作品。映画化され、今年9月には公開を控えている。映画化に合わせてなのか、新版で文庫刊行された。娘を不幸な方で亡くした母親・悦子。そこで出会った佐知子。娘をひとりで育てる彼女に、悦子の過去が不穏な形で蘇る。時代と過去に囚われながら、それでも生きていく彼女。古い時代と新しい時代、その狭間でもがいて生きる人たちの描写が温かい。2025/07/21
mikky
13
新版が出ていたので再読…と思って読んだんだけどほとんど覚えておらず初読のように楽しめた。さすが、カズオ・イシグロ! 物語の最初から最後にまで張り巡らされた緊張感、微妙なエピソードの重なり、そして語られないからこそ見えてしまう世界。すべてが素晴らしかった。 2025/06/15
nekomurice
12
これはもう一回読み直したい。解説を読んで、上辺しか読めていない事に気づいた。最初から最後まで違和感しかなかったのはそういう事だったんだ。悦子さんがお義父さんの扱い方が上手でそこだけ明るさがあった。2025/06/14