内容説明
広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開
英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
102
女性の苦悩と哀しみが繊細に描かれる。戦後、考え方が180度変わったことを嘆き教え子と口論する男は過渡期の象徴だろう。女性は違う。子供を抱える女性は自分のことだけでなくその日を生きなくてはならない。二人とも戦前は良家の子女だったのか、英語が話せ、海外生活の経験やバイオリンを習ったことがあったり。それが今ではうどん屋で働く、噂ではアメリカさんの愛人なのかも。佐知子の幾度も口にする今度こそアメリカに渡れる。トラウマを抱える娘は言動がオカシイ。母娘の身の上を案じ渡米を疑った悦子だったが、自身が佐知子と同じ選択を。2025/07/09
chantal(シャンタール)
76
久しぶりに本を読んだ。イシグロさんの処女長編、映画の宣伝を見て読みたくなった。イシグロさんの小説だなあと言う感じ。特別な事が起こるのかと先が気になって読んだけど、何も起こらなかった😅だけども読んじゃうんだなあ。戦後の全ての価値観がひっくり返った時代と現代が交互に描かれる。あの時は思いもしなかった人生を、今自分が生きてる。多かれ少なかれ、誰もがそんな風だよね。最初の邦題より、絶対今の方が良い。長崎の稲佐山の山並みを、私もあの夜景と共に思い出す。あの時は想像もしなかった日本での生活を私も今、生きてる。2026/01/19
chimako
76
『A Pale of View』 の邦題(改題)『遠い山なみの光』は絶妙か。ボーッとした読後感だが、価値観も教育も家族のあり方も激変した戦後の一時期が、薄暗い画面の映画を観るように流れていく。その先にあったものが山の向こうの青白い光なのか……思い出やこれまでの来し方なのか……捨ててきた諸々なのか……妊娠して出産間近の悦子と女でひとつで子供を育てる佐知子。佐知子の娘万里子。悦子の夫二郎とその父緒方。会話の全てが噛み合わず、離婚の理由も渡英の理由も景子の自殺の理由も明かされない全編。映画はどうしようか。2025/11/13
クプクプ
68
私は、長崎へ行ったことがありません。しかし、この作品を読んで、稲佐で山登りをして、そこで出会った方との掛け合いや、長崎平和公園にある、長崎平和祈念像を実際に見たい、という衝動に駆られました。私は50代なので、時代背景も理解しているつもりでしたが、訳者あとがきや、二人の解説を読むと、特に女性の登場人物の描き方を、半分も理解していなかったことに気づきました。優れた作品であることは間違いないので、今後、私の読解力を上げていきたいです。映画化されているので、それも拝見したいです。著者の作品を体系的に読む予定です。2026/09/26
はっせー
64
本書はカズオイシグロさんのデビュー作の新訳である。感情の機微をこんなにも丁寧に描いた作品がデビュー作なの!?と驚く作品😂1950年代長崎。朝鮮特需に沸き、風景や価値観が急激に変わっていく。その変化に戸惑いながらも生きていく悦子と変化に順応し幸せを掴もうとする佐和子。この2人の対比をまず味わえる。だが、単なる二項対立で終わらないのが、カズオイシグロ😆その中に世界の不条理感や隠し続ける想いなどをうまく編み込んでいる。そのため小説の層がめっちゃある!クロワッサンみたいって1人で思っていた😄2025/08/22
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