内容説明
小説、日記、手紙、詩歌、演説、さらにはSNSの投稿文に至るまで、さまざまな目的で書かれた「文」には、意識的にも無意識的にも多彩な文体が選ばれ、表現されています。
けれども、使われた言葉の特徴や微妙なニュアンスは、時が経つにつれて次第に薄れ、忘れ去られることが少なくありません。本書では、それらの言葉を再び蘇らせるために、文学愛好者や言葉を学び始めた人々に向けて出版された数多くの〈文例集〉―大量に出版された語彙集や作法書、実用書、アンソロジーなど―を手がかりに、文体の背後に隠れた深層に迫ります。
これまであまり注目されることのなかったこれらの資料群から、無名・有名を問わず多くの作家たちが描いた文学作品における文体の実態をとらえ、14篇の論考と100冊の書目解題を通じて、文学の実作とそれを受け取る人々の間にあった〈意味〉の輪郭を鮮やかに復元していきます。
【本書のポイント】
◎〈文例集〉を文学研究における重要な資料群として新たに提案
◎14篇の研究論文を通じて、散文や詩歌の作者たちとその読者が〈文例集〉とどのように関わりを持ったのかを解明
◎100冊の書目解題と書影を掲載したカタログ「文範百選」を収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mori-ful
3
コンパニョンはアウエルバッハやバフチンの文学修辞論を受け、名文集のような「類型とジャンルからなる辞書」が必要だと言ったが、本書では時代時代の文学指南書(文範)から、近代文学のスタイルを論じる。例えば、正岡子規少年がいかに漢詩を学んだか、大西巨人は小説家デビュー当時、野間宏のフォロワーと見做されたのはなぜか、正宗白鳥はなぜ「面白くない小説」を書こうとしたのか……など。時代のなかでいかに文体が影響を受け、変化するのか。「お手本」や先行者の仕事といった「〈文〉のインフラストラクチャー」を探求する論文集。 2025/08/13
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