内容説明
近世剣術「新陰流」の優れた術理を、批評家であり「新陰流・武術探求会」を主宰する著者が、明解かつ詳細に説き明かす。身体論、日本人論としても秀逸な一書。
目次
まえがき/第一章 日本刀による兵法/一 なぜ〈日本刀〉は生まれたのか/二 剣技が〈兵法〉となった時代/三 片手太刀から両手太刀へ/四 〈反発〉の原理から抜ける/第二章 新陰流の成立/一 剣法に流儀があること/二 上泉伊勢守の開眼──その一/三 上泉伊勢守の開眼──その二/四 〈陰〉であること/五 身を置く、ということ/第三章 太刀筋の体系/一 何を「太刀筋」と呼ぶのか/二 青岸の太刀筋/三 裏に抜けて勝つ/四 四つの太刀筋とその連関/五 やわらげしめる太刀筋/六 和卜の太刀筋に順勢と逆勢とがあること/七 「クネリ打ち」とは何か/八 「山陰」の切り/九 横雷刀からの逆勢の切り/第四章 立合いの心得/一 「十文字勝ち」のこと/二 小転のこと/三 「遠山」の教え/四 敵を我が左に誘うこと/五 返刀と廻刀/六 「相架ける」こと/七 打留めること/八 敵と接点を取ること/九 小太刀を使うこと──その一/十 小太刀を使うこと──その二/十一 一刀から二刀へ/終章 何を剣の「法」とするのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
新陰流の刀法(7頁)。打刀拵:室町中期~刀を両手で持つことを想定した柄(30頁)。刀身一如:刀の運動に身体が消し取られる感覚に達しなければ、兵法の理想はわからない(37頁)。勝つ:殺すのではなく、ひとつの世界へと相手を誘い、説得すること(42頁)。敵に随う:新陰流では随敵(ずいてき)の教えとして重んじ、相手が陽なら内側から崩す陰(78頁)。 和卜(わぼく):相手の打ちに協力するかのように、上に乗り、瞬時に推し落とす勝ち方(131頁~)。次から次へと技が繰り出される構成。2015/05/07
ポカホンタス
4
著者はさまざまなジャンルを扱う批評家。かつてこの著者のセザンヌ論を読もうとしたけどその独特の文体についていけなかった。この本は面白かった。日本刀のルーツは農耕用具であり、狩猟民族のように生き物を殺すのではなく、穀物を育て、食べ、植物のサイクルに自らが入るための神器だという。著者自身柳生新陰流を長年鍛錬していて、その経験から新陰流の剣さばきなども具体的に紹介してくれる。確かに農作業をするときの鍬の使い方の参考になる。その他別の局面にも大いに参考になる。著者の独特の文体も新陰流なのかもしれない。異色の武道論で2016/05/16
ワッピー
2
日本の刀を農耕と結び付けて説き起こし、新陰流の原理である体軸のコントロールを詳説。その論理性と円環・角度など幾何学的精妙さは、いかなる武道修行とも無縁の屁たれのワッピーにもおぼろげながら伝わってきて、思わず動画で新陰流を検索してみてしまったほど、著者の筆致に魅了されました。これはちゃんと理解するまで読み込まなければ(実際に理解できるかは別として)と久々に思いました。ワッピーにとっては新しい世界を開く扉本かも・・・2014/08/09
dskmori
0
剣術のいろはぐらい理解できるかと思ったら、そんなに甘くなかった。そもそも術じゃなくて法(のり)だし。知らない単語も多かったし、型も太刀筋も全然見えてこなかった。やっぱり奥が深いという落着点しか思いつかない。2017/08/17
mat
0
非常に深い内容で新しい発想だと思うが画像が少ないので剣筋が理解しにくい。 また時間を置いて読もうと思う。2015/12/02
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