内容説明
人類はゆるりと滅亡に向かう?
人類滅亡の危機がやってくる――ただし百年後に。世界を駆け巡った衝撃ニュースだったが、「終末」を意識させるには、小惑星衝突までの猶予が長かった。人々のささやかな勇気が少しずつ重なり合い、世界に希望をともしていく奇跡の連作短編集!
――これを機に、人類は捨てたりしないのかな。
――なにを?
――種の存続っていう根源的な本能を。
ベストセラー『#真相をお話しします』著者にして、ミステリ界のエースががどうしても描きたかった、未来なき世界で“希望”を編む人々の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
251
あの日、あの道を辿っていなかったら、変わり果てた街で独り彷徨っていたかもしれない。世界が滅亡に向かうなかで、生きる意味を考える六話を収録。小惑星が百年後に衝突し、皆の人生は終わる。そのとき人は意味のない人生を送るのだろうか。空を見上げれば思い出すだろう。目を瞑れば誰かの顔が浮かんでくるだろう。希望は何処か。どうせこの星はなくなる。無力感に襲われて時間を持て余す者もいる。かたや、限られた時間にしか存在できない人類のなかには、抗って走り続ける者もいる。地球がなぜここにあるのかわからないが、私たちはここにいる。2025/04/06
starbro
219
結城 真一郎、5作目です。王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので、読みました。本書は、100年後人類滅亡連作短編集、オススメは、第一話「たとえ儚い希望でも」&第五話「極秘任務を遂げるべく」です。 私なら、100年後の前提であれば、一切生活を変ええないと思います。10年後でしたら、別ですが・・・ https://www.shogakukan.co.jp/pr/douseka/2025/08/19
パトラッシュ
211
地球最後の日が確定した人類の生き様を描く小説は、最近は一個のジャンルを成すほど隆盛している。その期間が短いほど人はパニックに陥って壊れ、長ければ希望を見つけようとあがく姿が主題となる。今回は百年後という絶望するには長く、希望を抱くには短い時間に立たされた様々な人間模様が展開していく。未来が限られて人生を逃げる人もいれば戦うと決意する者もいるなど人の業は変わらず、喜怒哀楽を繰り返しつつ「いかに充実した生を送るか」を考えるようになるのだ。極限状態下の緊迫感はないが、絶妙にあり得るかもと思わせる物語が読ませる。2025/07/26
いつでも母さん
156
お初の作家さん。連作短編6話。何となく読み始めたが、一話目がわりと好かったので(偉そうで申し訳ない)そのまま読み進めて・・表題作になっている最終六話目でちゃんと?繋がっているのが心地よかった(こういうの好き)全編通して「どうせ世界は終わる」「どうせ滅びる」感が根底にあって、それでも希望とか未来とか夢とか・・なんか好い。人は必ず死ぬと分かっていても、その瞬間までいきるよね。笑って、泣いて、会話して、食べて、愛して・・多分私は、その日まで淡々と暮らすような気がするなぁ。2025/07/02
KAZOO
117
結城さんの最新作で、100年後に小惑星が地球に衝突して人類が滅亡するという背景での6つの短篇が収められています。100年後というタームが長いのか短いのかは実際に感じないとわからないし、また年齢によって感じ方も変わるという気がします。それでも人々は自暴自棄にならずに今までと変わらない日常を送ってい行くということがよくわかります。最後が表題作となっていますが、うまい収め方になっています。2025/06/04