内容説明
WOMEN TALKING
by Miriam Toews,2018
「これは必読!『侍女の物語』から抜けだしてきたよう」マーガレット・アトウッド(←NHK Eテレ「100分de名著」で話題)
「私たちは子どもを守りたい」
教団で起きた大量レイプ事件。「悪魔の仕業(しわざ)」「作り話」とされてきたが、実は身内による犯行だった。実話にもとづくサスペンス!
あるキリスト教系団体の村(コロニー)で起きた大量レイプ事件。最年少の被害者は3歳の少女。それは「悪魔の仕業(しわざ)」「作り話」とされたが、実は身内の8人の男による犯行だった。彼らを保釈させようと村の男たちが外出する2日間。女たちは子どもを守るために未来を選ばねばならない。何もしないか、闘うか、村を出ていくか。文字の読めない女たちの会議(ウーマン・トーキング)が始まる。実話にもとづくサスペンス。マーガレット・アトウッドが「必読」と絶賛。第95回アカデミー賞脚色賞映画、原作!
「これは必読! この驚異的で、悲しく、衝撃的にして心を打つ小説は現実の事件を元にしており、まるで『侍女の物語』から抜けだしてきたようだ」M・アトウッド
「痛烈……悪の本質、自由意志の問題、集団的責任、文化決定論、そして何よりも赦しについてふれる」ニューヨーク・タイムズ
カバーイラスト/千海博美
カバーデザイン/鈴木成一デザイン室
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
71
男は自分たちに都合良く教義を解釈し自分たちのモノサシを女たちに押し付け従わせることで小さな権力欲を満たしている。知的活動を奪われた女性は口答えしただけで殴られた。権威や年長というだけで人を従わせようとすることは宗教のコロニーだけに限らず社会のあちこちにも見られる。この事件は、舞台は現代であることに驚く。女性たちは学びの機会を奪われ、家事と育児と農作業のための労働力でしかない。被害女性の「自分たちは家畜よりも安全が保障されてない。」という発言は翻訳が柔らかすぎて、私なら「自分たちは家畜以下だ。」と訳したい。2025/07/02
藤月はな(灯れ松明の火)
54
ボリビアの、とあるメノナイト集落で起こっていた集団強姦事件。「悪魔の仕業」や「罪深き者への罰」として男たちに言い含められていた女性達だが、それは同コロニーの男性たちの手によるものだった。映画は結局、コロニーを出ていくのは加害者ではなく、被害者であるのに苦さを覚えていた。だからこそ、冒頭での「犯人が服役中も同コロニーで類似した襲撃事件や性加害が継続されていた」という現実の酷さに思わず、壁にこの本を投げつけそうになったのだ。しかし、文字を奪われている彼女達の相反する信仰と心境に向き合う姿勢やユーモアが光る2025/08/20
ヘラジカ
46
舞台は隔絶された閉塞的なコミュニティ。登場人物は限られており、ほぼワン・シチュエーションで構成されているため、思ったよりもコンパクトな小説である。しかし、この”ウーマン・トーキング”は世界中ありとあらゆる場所(SNSでも)で交わされている非常に普遍的なものだ。「出ていくか」「留まって戦うか」「何もしないか」。この選択肢は、男性が力(権力・暴力)を持つ社会の抑圧下にある全ての女性たちが突きつけられている切迫した現実だと思われる。それ故に、この小説での小さな世界で、人々の至った境地に厳かなものを感じた。2025/05/26
Shun
28
マーガレット・アトウッド絶賛のノンフィクション風の小説。とあるキリスト教系のコロニーで実際に起きた大量暴行事件が元となっています。この事件が発覚し、女性たちは己や子供たちを守るために声を上げ立ち上がる。閉鎖的なこの村では、信仰を根拠として女性らは教育を制限され読み書きすることができなかった。そんな彼女らが闘う術として女たちの会議"ウーマン・トーキング"を始めることとなった。そしてこの会議を記録するための書記として選ばれた唯一の男性、それが本作の語り手となって綴られます。M・アトウッド推薦なのも頷ける作品。2025/06/03
けいこ
9
実在した事件をもとにした物語。普段抑圧されている女たち。あの状況だったら何も考えられなくなってしまいそうだけど、みんなで今後を考えながら議論していくところがとても印象に残りました。物語としては今後が気になる終わり方だったけど、みんなの決断だから何とかなるのかな。なって欲しいです。2025/06/29