中公新書<br> ロシア政治 プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔

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中公新書
ロシア政治 プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔

  • 著者名:鳥飼将雅【著】
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  • 中央公論新社(2025/05発売)
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  • ISBN:9784121028549

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内容説明

国際法を無視してウクライナへの全面侵攻を始めたロシア。
兵士の大動員を行い、西側諸国から経済制裁を受けるも、国民はプーチン大統領を支持し続ける。
地方政府や大企業、メディアを意のままに動かし、選挙や政党まで操作する絶大な権力をプーチンはいかに獲得したのか。
ソ連崩壊からの歴史を繙き、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の6つの観点から権威主義体制の内幕に迫る。

■ 目 次 ■

はじめに

第1章 混乱から強権的統治へ――ペレストロイカ以降の歴史
 1 ペレストロイカとソ連解体、混乱のエリツィン時代へ 1985~99年
 2 プーチンの大統領就任、タンデム支配へ 2000~12年
 3 プーチン再登板からウクライナ戦争へ 2012~24年
 4 本書の視角

第2章 大統領・連邦議会・首相――準大統領制の制度的基盤
 1 ソ連時代の遺産と準大統領制の成立
 2 エリツィン時代の対立からプーチン時代の支配の確立へ
 3 大統領の任期とプーチンの後継者問題

第3章 政党と選挙――政党制の支配と選挙操作
 1 エリツィン体制下の支配政党の不在
 2 統一ロシアと政党制の支配
 3 バラエティ豊かな選挙操作
 
第4章 中央地方関係――広大な多民族国家の統治
 1 強力な地方エリートと非対称な連邦制
 2 プーチンの登場と垂直的権力の強化
 3 2010年代の展開と地方への押し付け

第5章 法執行機関――独裁を可能にする力の源泉
 1 プーチン体制を支えるシロヴィキたち
 2 権威主義的な法律主義
 3 市民の生活と法執行機関

第6章 政治と経済――資源依存の経済と国家
 1 オリガルヒの誕生と政治への介入
 2 集権的ネットワークの確立
 3 ロシアの市民と経済

第7章 市民社会とメディア――市民を体制に取り込む技術
 1 ロシア市民の政治観
 2 市民社会の抑圧と抱き込み
 3 メディアの支配とプロパガンダ

終 章 プーチン権威主義体制を内側から見る

あとがき
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紙狸

17
2025年5月刊行。1990年生まれの旧ソ連地域研究者による初の単著。あとがきによると、著者の主な研究対象は、政党と選挙、中央と地方の関係。一般向けのこの本は、間口を広げて、ロシア政治を制度、政治的慣行の視点から解説する。プーチンによる権威主義体制は、プーチン個人の資質やロシア人の「国民性」だけでは説明できるものではなく、制度がどのように変えられてきたかを見ることが必要だ。2025/08/13

nishiyan

9
ソ連崩壊からの歴史を紐解き、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の六つの視点からプーチン権威主義体制を内幕に迫る新書。ソ連からロシアへの移行期の混乱への猛烈な反省が現在の強権的でありながら、古典的なメディアを使った市民への懐柔によって、その支配を確立させたのだろう。三権を凌駕する大統領の地位だが、市民からの一定の支持がなければ継続することはできないという点は興味深かった。また徹底した身内の登用と利益分配がよりその支配体制を強固にしている点も気になった。2025/07/11

かずりん

7
世界的にも道義的に認められないウクライナ侵略戦争を仕掛けておきながら、なぜ今日のプーチン体制が成り立っているのか。愛される独裁者プーチン支持率は高い。ソ連崩壊後の混乱を収束させ、経済成長をもたらし、大国としての誇りを復活させからだ。権威主義体制は地方行政を掌握し、法による支配、中間層の支持など制度的要因にも裏打ちされているという。日々のニュース、国際政治解説を踏まえロシアという国を考える上で整理された一冊です。2025/07/13

馬咲

6
ロシアの統治機構の分析を通して、プーチン体制の権力基盤の成り立ちを概説。特に市民への抑圧だけでなく「懐柔」策にも注意することで、「権威主義体制」一般を多面的に考える上で参考になる内容となっている。ソ連解体後の混乱期に生じた様々な政治経済上の弊害(中央と対立する地方の汚職塗れの権力構造、オリガルヒのような利益集団の誕生と政治介入等)が、ロシア政治の現状に尾を引いていることが分かる。プーチンはそれらを徐々に掌握・統制してみせることで集権化の正統性を誇示しつつ、自ら強力で巧妙な汚職構造を差配できるようになった。2025/07/05

バーニング

5
ウクライナ戦争の前後に出版された本は国際政治の中のロシアとプーチン政治の位置づけを意識した構成が多かったと思うが(国際政治や地域研究の著者が多いため)、本書はもっとロシアの国内事情に目を向けた一冊であり、本書の主眼はロシアの政治行政を支える体制とその変化を記述することにある。ソ連崩壊後に成立した現代ロシアにおいて、例えば中央地方関係はどのようなものになっているのか、内政と行政、そして経済と社会の関係はいかようなものであるか。新書というコンパクトでありながらなど、具体性に富んだ記述は好奇心をそそられる。2025/06/18

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