内容説明
誰かが死ななきゃ分かんないの?
首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。
ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。
言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。
彼らを追いつめたもの、それは――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
18
ふ〜、とーっても疲れた…。元音楽プロデューサーであった一人の男のSNSによる《参戦布告》と題した記事により、男が大切にしてきたお笑い芸人の自殺と伝説の歌姫が消えた事が、ネットの誹謗中傷の記事によるものとして、その重罪者の個人情報を暴露するところから始まる今作。匿名だからと言いたい放題してきた人たちの立場が逆転し、何もかもを失うその置かれる立場の恐ろしい現実もヘビーだし、後半明かされるお笑い芸人と歌姫と男の深いところでの結びつきや男の心情はよく分かったが、深ーく掘り下げている文章がこれまたしんどかった。2025/06/04
雪だるま
16
SNSの中傷で追い詰められて自ら命を落とす。現実にも起こっている事ですよね。ある日「宣戦布告」としてSNSで誹謗中傷を繰り返す人々の個人情報が晒される。目には目をというのが正しいかどうかは別にして、自分もその立場にならないと分からない人は多いのだと思う。人間誰でも間違えるのに一つ間違えただけで執拗に責められるのは絶対におかしい。どうしたらこんな事がなくなるのだろう?重くて考えさせられるストーリーでした。 #NetGalleyJP2025/06/01
katsukatsu
12
誹謗中傷に曝されたお笑い芸人、天童ショージ、伝説の歌姫、奥田美月。これらの誹謗中傷に対して瀬尾政夫が復讐を始めるところから物語は幕を上げます。そして名誉棄損で逮捕された瀬尾を担当する弁護士の久代奏が瀬尾の人生をたどっていくことで物語は展開していきます。そこで浮かび上がってくるSNSの闇、丹念に描かれる芸能界の人間模様、そして、この物語には強く結びついた人間の壮大なドラマがありました。サイン本、作者のサインの上に書いてあった言葉は「生きてこそー」踊りつかれた現代の人々に作者のメッセージが響く傑作です。2025/06/04
ユウハル
10
言葉が出てこない。それぐらい衝撃でかつ重厚な一冊だった。 私たちも言葉が持つ意味、影響、すべて考えていかなければいけない。誰もが無責任に発言できる場所はないのだ。2025/05/27
のあ
9
社会派小説なんだけど、塩田さんこんな小説も書けるのか。 至純の愛がここに。 2025/06/04