内容説明
ソウル、釜山、沖縄、旭川。治療としての〈冬眠〉が普及した世界の、眠る者と見守る者。やがて犬たちが、人々を外へと導いてーー。世界とはぐれた心を結び直す冬眠小説集。
すべての疲れた人たちへーー。
未踏の文学を切り拓く作家による、
韓国と日本を舞台にした冬眠小説集の誕生!
・冬眠は、健康診断とカウンセリングを経て開始する。
・万一に備えて冬眠者を見守るガイドが必要になる。
・ガイドは、信頼できる人にしか任せられない。
・冬眠者の多くが、はっきり記憶に残る夢を見る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
52
冬眠という語が持つニュアンスだけを別解釈して開いて行く近未来(韓国だけの?)YA的匂いの作品。著者はお初、斎藤真理子さんの訳は読み易い。読了感は20歳代女性と思いきや。。治療としての「冬眠」が普及した世界、本人と見守るガイド、新たな世界へ導いて行く犬の存在。アトウッドの世界に浸った記憶が生々しい今、なんかなぁの感。心身共に疲弊しカチカチの心を解きほぐすとは言う物言いが現実逃避っぽくって。ま、言い方を変えれば「現実逃避でもいいじゃん★生き辛いのは事実なんだから」ってなる?・・合う人は合う、合わなくてもいい2025/06/22
ヘラジカ
41
これまで邦訳されたパク・ソルメ作品のなかでは最も読みやすく筋書きも追いやすい。前二作の実験的で尖った作風に魅了された読者としては少し物足りなくも感じたが、やはりあの独特な言葉遣いと浮遊感には得も言われぬ快感がある。この”良さ”を表現する難しさを考えていたところ、付属のカン・ヘリムによる「理解も解釈も必要なく、そこにあるものをそのまま読み取るのが楽しいという時間が存在するのだ」という言葉に救われた。小難しいことを考えずあの遊歩に身を任せるのも、一種の文学との向き合い方なのかもしれない。2025/03/01
ケイティ
35
とてもよかった。心身治療の一環として長い睡眠を取る「冬眠」者と、それを見守る「ガイド」たちの物語。巻末に寄せられた装丁家の推薦文が素晴らしく、「理解も解釈も必要なく、そこにあるものをそのまま読み取るのが楽しいという時間が存在する」という読書だった。疲弊した都市生活という前提だが、静かで柔らかく深刻にならず、浮遊しているような空気感が気持ちいい。掴みどころがないようで自分の世界と繋がっている感覚になり、不思議な設定や展開にするりと入っていける。『未来散歩練習』から続く、抜け感のある雰囲気に包まれました。2025/04/02
のりまき
22
とても良かった。『もう死んでいる…』が苦手だったので恐る恐る読んだのだけれど、こちらはホワホワしていてちょっと寂しくて切ない。「冬眠」という、特殊な状況をあっという間に受け入れて違和感なく読んでしまう。影犬がぞわぞわするほど愛おしくて良かった。2025/06/06
フランソワーズ
20
行きすぎた競争社会の韓国。それに疲弊した人は冬眠するというシステム、それを見守るガイド。そんな人たちの日常を描いた短編集。ただギスギスした感じはまったくなく、浮遊感漂う不思議な世界。もしかしたら全部、現実逃避としての夢が描かれているのではと思うほどに。2025/06/22
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