内容説明
地方都市・天島市で造船業を営んできた大家・扇谷家で2025年4月、予言者として一族を繁栄させてきたおばあさまの手帳が見つかった。手帳によると、おばあさまは100歳となる今年死亡するらしい。一族の皆が集まり、家じまいをすることになるのだが、本家の娘・立夏には気になることがあった。それは認知症になって以来、おばあさまが繰り返し「若い頃、桜の木の下に死体を埋めた」と言っていたことと、言葉なき者の声を聞く能力を持つ立夏は、それが本当だと知っていること――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タックン
133
地元の静岡書店大賞受賞作。造船業で財を成した扇谷家、その家の女性は、予知能力、千里眼、言葉なき者の声を聞くといった能力を持ち、その秘密を守るため婚姻は限られた家のみとされていた。その扇谷家のおばあさまが亡くなり住まなくなった大きな邸宅を市に寄贈することになった。家じまいに当たっての心配箏は、おばあさまが家の桜の下に人を殺して埋めたこと。その家じまいまでの顛末をいろんな時代から語っていく家族史。ほんと不思議で楽しくてみんないい人ばかりで面白かった。3人の写真の話は微笑ましかった。おばあさまは殺したのかな?2026/06/06
いつでも母さん
128
実石さん2025年第13回静岡書店大賞受賞作品。視えるとか感じるとか話すとか不思議な一族の大河ドラマを面白く読んだ。代々女性だけが持つ不思議な力・・「予言帳」それを当主である時子おばあさまから預けられてもねぇ。おまけに「裏庭の桜の木の根元におばあさまが殺した男が眠ってる」なんて物騒な。そのおばあさまが亡くなり屋敷を仕舞う段になって、明らかになる家族の諸々すべてが愛の物語だったのだ。既読の実石作品より私はこちらが好み。ラストがまた好くて、枯れていたはずの桜が見せた満開の奇跡。これはやっぱり愛だよね。2026/07/07
榊原 香織
116
不思議な力を持つ一族。おとなしめなストーリー 舞台は明らかに清水。記憶に新しい1週間断水も出てくるし。 神社がどこか分からない。浅間さんかなあ? 静岡書店大賞昨年度受賞作(同じ作者が2作品)2026/02/24
bunmei
115
4世代に渡る扇谷家に伝わる特殊な力と、その一族の愛の形や生き方が描かれていく。時系列がバラバラでやや読み辛いが、特殊な力に対する怖さはなく、温かなノスタルジーに包まれる作品。扇谷家に生まれし女子には、千里眼・予知・過去視・言葉なき者の声を聞く力等の力が備わっていた。そんな扇谷家も主が亡くなり家じまいを進めることに。厄介な宿命を背負いながら生きる一族の、世代を超えた切ない思いや、人生の岐路での決断や不安を含め、人間の生き方や本質を炙り出していく。ラストに待ち受ける鮮やかな光景が、静かな感動を呼び起こす。 2026/06/28
えんちゃん
70
静岡県には静岡書店大賞なる催しがあるんです。本作は2025年の大賞受賞作品。不思議な力を持って生まれる扇谷家の女性たち。予言や千里眼や過去霊視や死者の声聞きなど。お祖母様の死をきっかけに一族の来し方と未来をみつめる一族の物語。舞台は清水かな。お祖母様が埋めたという死体の謎や、能力に揺れ動く女性たちの考え、能力を持たない男性サイドの思いなど、色んな要素が楽しめました。実石さん、筆が乗ってきましたね。次作も楽しみです。2026/04/02
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