内容説明
少女たちはソウルで夢を見た。
K-POPデビューを夢見る陽奈と、大学進学する幼なじみに思いを寄せるソユン。日韓のふたりの少女は、それぞれの理由から芸能事務所の練習生としてソウルで暮らし始めた。ブラジル、タイなど各国出身の練習生とのつながりは深まる一方、韓国芸能界の荒波に心と体をすり減らしていく――
K-POP、韓国ドラマ、ヘイトスピーチ、領土問題、南北朝鮮、戦争、植民地。全てを描き抜いた傑作――スケザネ氏(書評家)
現代女性の抱える悲哀を題材とした中編『コークスが燃えている』で熱狂的な支持を得た著者による、初の長編小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
88
読書メーターのご感想で知った本でこの作家さん初読み。軍事政権による抑圧や帰還事業の悲惨は同時代に見聞し、かつ韓流とは関係なく過ごしてきたので、主人公陽奈が韓国でアイドルを目指すと言うキラキラした感じが新鮮で興味を持った。アイドル業界の描写も細かく面白いが、それだけでなく、陽奈の出会う人々を通して、南北分断、日本での朝鮮人労働者の歴史、韓国の若者の閉塞感などもしっかり描かれ、それを受け止める陽奈の感性の瑞々しさ、真っすぐさがとても良かった。2025/11/27
えんちゃん
66
「コークス」「カサンドラ」では、ままならない女性の生き方を透き通った文章で描いた櫻木さん。今作品は、KーPOPアイドルを目指す日本人少女と、そのグループメンバー、そして朝鮮半島の歴史と回顧を混じえた、深みのある若者群像劇。徴兵制、年配者を労る風潮、都会と田舎の格差、学歴社会。知っているようで知らなかった韓国についてとても勉強になった。青春小説と社会小説の両面を味わえる一冊。とても面白かったです。2025/09/24
konoha
49
櫻木さんの繊細な感性はそのままに、世界が格段に広がった力作。日本から韓国に渡りアイドルグループとしてデビューを目指す陽奈は、ミステリアスなソユンらメンバーと共に厳しい生活を乗り越えていく。ちょうどタイムレスオーディションにハマっていて題材が重なって楽しい。韓国ドラマやK-POPも好きなので、リアルな韓国も興味深かった。アイドルの話が主と思いきや後半は祖父の代まで遡り韓国、北朝鮮の歴史に思いを馳せる。陽奈の青春と成長に胸がぎゅっと切なくなる。情熱的なのに芯に静けさがあるところが魅力的。おすすめの一冊。2025/07/25
天の川
48
デビュー作からずっと追いかけている櫻木さん。本作はK-popアイドルをめざして渡韓した少女・陽菜が主人公。K-popの世界を描くとともに、日本と韓国の歴史認識の差、在日朝鮮人の苦悩、北朝鮮への帰還事業、朝鮮戦争によって故郷に帰れなくなった老人の哀しみ、ソウルと田舎町の経済格差、韓国男性の兵役義務、SNSの光と影がギュッと詰まっていた。物静かで誰よりも才能豊かだったチームメイトのソユンの自死を乗り越え、彼女の思い出と共に再び歩き出す陽菜が眩しい。日本人はもう少し朝鮮半島との歴史を謙虚に学ばねばと改めて思う。2025/12/13
Kazuko Ohta
30
毎年400本前後の映画を劇場鑑賞するので、取捨選択はせずに何でも観ます。だから、K-POPにまったく興味がないにも関わらず、ライブ映像等の上映があるときには観に行っていました。それでも興味は沸かず。ところが1年半前、ジョングクのドキュメンタリーを観てハマる。いまやBTSの箱推しに。本作の主人公は、そんなBTSの“ダイナマイト”がきっかけでK-POPアイドルを目指す少女。それのみの話かと思っていたら、日韓両国の歴史に及ぶスケールの大きな物語でした。K-POPが好きな人に薦めたいなどと軽くは言えないぐらいの。2026/02/03




