内容説明
西行から芭蕉に至る平安~江戸時代を、タブーを無視して縦横に語る。老熟の作家と気鋭の歴史家による刺激に満ちた異端の日本史談義。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
104
嵐山さんと磯田さんが縦横無尽に語り合う。歌枕の旅として奥州藤原氏の諜報活動を行った西行、戦争広告代理店だった連歌師、そして、忍者・隠密説の絶えない芭蕉。彼らの背景に、保元の乱・戦国時代・元禄時代という時代の緊張感があることを理解する。与太話のような暴走発言も飛び出すが、それが刺激的で面白い。小説家の嵐山さんが「光秀は本能寺で比叡山の仇を打った」「西行と鳥羽上皇との男色」「西行の毒薬自殺」などと言うも、学者の磯田さんは「ああなるほど」と受け流すのが狡い。本書の編集者は山本明子さん(ホンダ・アキノ)。流石だ。2025/07/23
sofia
34
西行、連歌師、芭蕉をただの文学者ではなく、諜報活動をしていたと読み解いた本。和歌、連歌、俳句に詳しくないので難しかったのだが、2人の対談はおもしろかった。西行は崇徳院の白峯陵を訪れた人としか知らなかったが、この人ほど、あの時代の流れを中間で感じた人はいないのだろう。出家しなかったら途中で殺されていただろうが。芭蕉も吟遊詩人でありながら、情報も得ていたとは、知らなかった面でおもしろかった。2025/07/15
coldsurgeon
7
旅する歌人・西行、中世期の日本を情報を集め広めつつ旅した連歌師、そして隠密ともいわれた芭蕉、を文学史の視点ではなく、歴史・政治の視点で語る。歴史の流れの中での役割が披露され、とても面白かった。和歌、連歌、俳諧の味わい方が変わるような気がする。配下の見立ての意義が、政治的な意味合いが強いことに気づかされた。2025/06/20
あまいちろう
3
古文書の解読をすらすらされる磯田道史氏、西行、芭蕉に造詣の深い作家の嵐山光三郎氏の対談本。西行は北面の武士としてきらびやかな人生をスタートするが、政治の対立を避けて、出家。各地を旅して歌を詠むが、釈迦入滅の日にあわせて死んでみせるなんてかっこつけた人なんだと思うと愛着も湧く。芭蕉と諜報も知識としては知っていたが、対談の中で各種資料を交え明らかにされ、大満足の対談であった。2025/06/13
Mマジパン
1
都の貴族のものであった和歌は西行に至って桜の花に涙する庶民にも身近なものとなった。さらに連歌の形式が生まれ宗祇に代表される連歌師によってより広い階層の人々が楽しめるようになった。それを俳句として一つの完成形に導いたのが芭蕉である。彼らが旅に明け暮れたのは確かだが、わざわざ隠密(スパイ)説を持ち出して「影の日本史」にまで繋げるのは、作品の興をそぐだけのような気がする。一方、各地の歌枕に触れパトロンや歌人・俳人と交流することが創作の源泉になったことは間違いないだろう。2025/06/14
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