内容説明
記者が4年をかけて全国を歩き,憲法事件の関係者を取材したルポルタージュ.綴られる物語は,戦後の日本社会が形成されていく歴史であり,尊厳をかけて闘った人間の「不断の努力」の軌跡だ.私たちが憲法を護ってはじめて,憲法は私たちを護ってくれる.石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞の新聞連載の書籍化!
目次
まえがき
第1章 平和の原則(9条)
浅間山米軍基地闘争──信州に訪れた「憲法訴訟前夜」
砂川事件──米軍駐留は憲法9条違反か
恵庭事件──自衛隊と「平和的生存権」
長沼ナイキ基地訴訟──「自衛隊は違憲」初の判決と波紋
自衛隊イラク派遣訴訟──自衛隊は海外の戦争に協力できるか
長野安保法制訴訟──集団的自衛権は9条違反か
第2章 政教分離の原則(20条、89条)
津地鎮祭訴訟──神式行事に公金を使ってよいか
箕面忠魂碑訴訟──市有地に「忠魂碑」
愛媛玉串料訴訟──公費で靖国神社に「玉串料」支出
空知太神社訴訟──市有地に「天照大神」を祭る
第3章 生存権(25条)
朝日訴訟──「人間らしく生きる権利」を求めて
堀木訴訟──障害者の貧困と差別
生活保護費減額訴訟──保護費額は国の裁量事項か
コラム スクープ「判決文コピペか」
第4章 学問の自由(23条)
東大ポポロ劇団事件──政治的表現は「学問」ではないのか
旭川学力テスト事件──教育の内容は誰が決めるのか
家永教科書裁判──国家は教育内容にどこまで介入してよいか
第5章 思想・良心の自由(19条)
三菱樹脂事件──「好ましくない」考えで採用拒否
町中学内申書裁判──デモに参加したら受験で全滅
日の丸・君が代強制訴訟──「歌わない自由」はないのか?
第6章 表現の自由(21条)
沖縄密約情報公開訴訟──日米の約束、国民の知らないところで
北海道警やじ排除訴訟──声を上げたら警察が
立川反戦ビラ入れ事件──ビラ投函しただけで逮捕
9条俳句訴訟──「世論が二分するようなテーマ」は不掲載
第7章 平等原則(14条)
子どもの国籍確認訴訟──日本で生まれ、育ったのに
婚外子相続差別訴訟──親の事情で子の価値が半分に
夫婦別姓訴訟──私の名前、結婚しても守りたい
同性婚訴訟──誰もが愛する人と結婚できる社会に
第8章 個人の尊重(13条)
強制不妊訴訟──「優生保護」という差別
釜ヶ崎監視カメラ訴訟(民事)──集中監視はプライバシー侵害
釜ヶ崎監視カメラ訴訟(刑事)──不当な監視への抵抗は正当防衛
中津川市議代読裁判──出せない声、代替手段自分で選びたい
嘉手納基地爆音訴訟──米軍基地は治外法権か
あとがき
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KocmocKocma
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