内容説明
スピノザは、17世紀の他の思想家に比し、人間像と思想像において際立つほど多面的に受けとめられてきた。ユダヤ教会からの「破門」によって始まった「思考する実存」としての生。著作や書簡の読解から浮かび上がる固有の「精神の運動」。それらはどのような思想世界を形づくったのか。本書は、従来のイメージにとらわれることなく、スピノザにおける倫理学と政治学、そして聖書批判の内的連関を見定め、その思想を統一的に描き出す。
目次
本書を導くスピノザの六つの言葉/凡例/プロローグ──スピノザの独自性/第一章 伝説と実像との間/第一節 分岐するスピノザ像/一 人間像をめぐって/二 思想像をめぐって/三 民族的出自をめぐって/第二節 伝説と実像との間──本書の課題と基本的な視座/一 人間像について/二 思想像について/三 ユダヤ人性について/四 本書の課題と基本的な視座/第二章 生の軌跡/第一節 「破門」まで/一 生と思想との連関/二 生の軌跡を辿ることの困難性/三 アムステルダム時代/第二節 破門以後/一 「破門」後の動向/二 レインスブルフ時代/三 フォールブルフ時代/四 スピノザの時代のオランダの歴史状況/五 ハーグ時代/第三章 倫理学──形成と展開/第一節 「精神の運動」──方法の問題/一 「破門」体験──「精神の運動」の起点/二 「認識」問題──「精神の運動」の第二の展開/三 倫理学から政治学へ──「精神の運動」の第三の展開/四 聖書批判──「精神の運動」の第四の展開/五 方法の問題/第二節 倫理学の展開とその問題性/一 倫理学の始点──『改善論』と『短論文』/二 倫理学の構造と展開/三 スピノザ倫理学の構造的な問題性/第四章 政治学──形成と展開/第一節 論点の整理/一 「変性の哲学」としての近代哲学──スピノザの場合/二 スピノザ政治学の構成/第二節 政治的共同体の形成/一 倫理学の概念の政治学的再規定/二 人間の自然状態──存在論の優位/三 人間の「変性」と「政治状態」の成立/四 社会契約説の採用と特質/第三節 政治的共同体の「目的」/一 三つの問題/二 政治的共同体の目的としての「安全と平和」/三 各政体をめぐる機構論の展開/四 「政治的共同体の基礎」/五 政治的共同体の目的としての「自由」/第五章 聖書批判の展開/第一節 論点の整理/一 求められる視点/二 スピノザは何をしようとしていたか/第二節 哲学と信仰=神学との分離/一 分離の原理/二 「聖書の神聖性」/第三節 聖書解釈の批判的方法/一 聖書批判の方法/二 特質と方法的手続き/第四節 聖書解釈の展開と「変性」の企図への隘路/一 「神学者たちの偏見」を打破するために/二 「無神論者」との非難を排撃するために/三 「体制宗教」の強制からの「自由」を確保するために/エピローグ──スピノザからのメッセージ/あとがき──スピノザをめぐる研究私史からの断想/参考文献
感想・レビュー
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amanon
Go Extreme
森中信彦




