ギリシア哲学史

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ギリシア哲学史

  • 著者名:納富信留【著者】
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 筑摩書房(2025/05発売)
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  • ISBN:9784480847522

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内容説明

全てはここから始まる――古代ギリシアで哲学はどのように始まったのか。人間と社会と自然を根源から問い、わたしたちの生き方・考え方を形作った知の原点。近年の研究成果を踏まえギリシア哲学史の枠組みを見直し、哲学者たちの思索を新たな視座から一望する記念碑的通史!

目次

はじめに/第I部 ギリシア哲学史序論/序章1 ギリシア哲学とは何か/1 ギリシア哲学史の哲学的意義/2 ギリシア哲学史の規定/3 ギリシア哲学史の四期区分/序章2 ギリシア哲学資料論/1 古代ギリシア哲学資料の概要/2 中世写本の伝承とテクスト校訂/3 パピュロス断片、金石文/4 断片集の編集/第II部 初期ギリシア哲学/A ギリシア哲学の他者/1 エジプト/2 メソポタミア/3 叙事詩の伝統/B 総論 初期ギリシア哲学の枠組み/C イオニアでの探究/序 探究の成立/第1章 タレス──最初の哲学者/1 人物と著作/2 知者/3 自然の探究/4 受容/第2章 アナクシマンドロス──始源の探究/1 人物と著作/2 無限という始源/3 宇宙論/4 受容/第3章 アナクシメネス──空気の変容/1 人物と著作/2 空気という始源/3 受容/第4章 クセノファネス──神を語る詩人哲学者/1 人物と著作/2 酒詩と自然探究/3 神への視点/4 人間の認識/5 受容/第5章 ヘラクレイトス──謎かけるロゴス/1 人物と著作/2 知への挑発/3 一なる万物/4 人間の生き方/5 受容/D イタリアでの探究/序 イタリアへの伝播/第6章 ピュタゴラス──魂の教導者/1 人物と資料/2 生の教導/3 哲学の創始/4 受容/第7章 パルメニデス──「ある」の衝撃/1 人物と著作/2 詩の序歌/3 真理の道/4 思い込みの道/5 受容/第8章 エレアのゼノン──パラドクスの創出/1 人物と著作/2 逆説/3 受容/第9章 エンペドクレス──浄化の宇宙詩/1 人物/2 著作/3 浄め/4 自然について/5 詩による真理の体験/6 受容/第10章 フィロラオス──無限と限定の調和/1 人物と著作/2 ピュタゴラス派哲学の理論化/3 受容/第11章 アルキュタス──数学者にして政治家/1 人物と著作/2 数学と哲学/3 受容/E イオニアでの自然哲学/序 イオニアの伝統/第12章 メリッソス──一元論の展開/1 人物と著作/2 「ある」の一元論/3 受容/第13章 アナクサゴラス──万物の秩序と知性/1 人物と著作/2 万物の混合/3 知性による宇宙生成/4 天体から生物まで/5 受容/第14章 レウキッポスとデモクリトス──原子論の成立/1 人物と著作/2 原子論/3 認識論/4 倫理的箴言/5 受容/第15章 アポロニアのディオゲネス──自然一元論の復活/1 人物と著作/2 空気の一元論/3 受容/第III部 古典期ギリシア哲学/A 総論 古典期ギリシア哲学の枠組み/B ソフィスト思潮とソクラテス/序 ソフィストをめぐる知的活況/第16章 プロタゴラス──最初のソフィスト/1 人物と著作/2 徳の教育/3 人間尺度説と神不可知論/4 受容/第17章 ゴルギアス──言論の力/1 人物と著作/2 言論の技術/3 無の論証/4 受容/第18章 アンティフォン──弁論の挑発/1 人物と著作/2 弁論術の教育/3 ノモスとフュシス/4 受容/第19章 ソクラテス──対話による生の吟味/1 人物/2 資料/3 対話と不知/4 徳と知/5 受容/第20章 プロディコス──言葉の正しさ/1 人物と著作/2 言葉の探究/3 神々について/4 受容/第21章 ヒッピアス──記憶の博捜/1 人物と著作/2 オリンピック競技会と博識/3 受容/C ソクラテス文学とプラトン/序 ソクラテス文学とソクラテス派/第22章 アンティステネス──ソフィストとソクラテスのハイブリッド/1 人物と著作/2 弁論術と哲学/3 倫理説/4 言語論/5 受容/第23章 アリスティッポス──快楽主義の創始者/1 人物と著作/2 快楽の現実主義/3 受容/第24章 プラトン──対話篇と学園の哲学/1 人物/2 著作/3 解釈の枠組み/4 魂とイデア/5 ディアレクティケー/6 受容/第25章 クセノフォン──有為な人間の教育/1 人物と著作/2 立派な生と教育/3 受容/第26章 イソクラテス──弁論と哲学の一致/1 人物と著作/2 弁論術の教育/3 スタイルの実験/4 受容/D アカデメイアとアリストテレス/序 アテナイの哲学学校/第27章 スペウシッポス──イデアなき多元と分割/1 人物と著作/2 イデア論否定と数学/3 類似性の分類論/4 受容/第28章 クセノクラテス──イデアと数の一致/1 人物と著作/2 宇宙論的存在論/3 受容/第29章 ヘラクレイデス──バロックの学問と文学/1 人物と著作/2 文学と対話篇/3 哲学議論の応酬/4 受容/第30章 アリストテレス──あらゆる学問知識の探究/1 人物/2 著作/3 学問と方法/4 言葉から実在へ/5 自然から形而上学へ/6 人間の幸福/7 受容/第31章 テオフラストス──自然と人間の観察者/1 人物/2 著作/3 自然学と植物論/4 形而上学/5 性格論/6 受容/第32章 シノペのディオゲネス──犬と呼ばれた哲学者/1 人物と資料/2 逸話による哲学/3 価値の転倒/4 受容/注/あとがき/参考文献/ギリシア哲学史関連年表/人名索引/事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

52
プラトンの研究者である著者が哲学者32人を取り上げてギリシア哲学の通史を語る本。これまでも同様の本は出版されてきたが、まず哲学の定義から始めているのが目新しい。また、従来哲学者からは除外されてきたソフィストを哲学者の一員として扱い、ソクラテスとの関係を取り上げているところが興味深い。それぞれの哲学者の人物像や思想を述べているだけでなく、最後に「受容」という一節が設けられていて、後世に与えた影響を書いているのも特徴の1つだ。ヨーロッパへの影響が多いのは当然だが、江戸時代の蘭学者や芥川龍之介も登場する。2022/08/22

Gokkey

12
タレスに始まるイオニアの自然哲学からアリストテレス等のアカデメイア関係者まで、哲学者毎にその人生から思想まで紹介され、トリビア的な知識(例えばプラトンは四人兄弟の三男坊でレスリングをやっていた)を含めて興味深く読める。現代版のディオゲネス・ラエルティオスという位置付けが相応しいか?同じ時代を(やや強引な)ストーリーで描く日下部吉信氏の著書と方法論的に対極を成すように思えるが、リソースが限定的なせいか、両者の著書から伝わる世界観そのものに大きな相違は感じられない。プラトンとアリストテレスの項は特に秀逸。2022/09/16

みのくま

9
イオニアの自然哲学から南イタリア、ソクラテス文学、アカデメイア、アリストテレス、そして最後はシノペのディオゲネスまで通観する本書は、ギリシア哲学の繋がりが見えてきて大変興味深い。他方、他にも本書は多くのヒントが散りばめられているのだが、それらはぼく達読者に示唆されたままとなっており大変もどかしい読後感である。著者の厳選した哲学者たちは決して思索するだけの人物ではなかった。彼らとホメロスやヘシオドスといった詩人や、医学のヒポクラテス、歴史家のヘロドトス、そしてギリシア悲劇/喜劇作家たちと明確な境界はないのだ2024/01/05

nagata

5
完全読了には程遠いが、古代ギリシアで醸成され、以降西欧の世界観を作ってきたギリシア哲学の、とりわけ何を考え始めたのかあたりが大きく掴めたか。万物の根源を問い続け、不可分なもの=原子に辿り着いたのは必然だが、彼らは近代のように自然と切り離した人間像を措定していたわけではなかったように思う。もう少し踏み込んでみたい。2023/03/29

鴨長石

4
人物ごとにまとめたギリシア哲学の通史。ソクラテスの位置づけなど、従来のギリシア哲学史とは違う分類としているところもあるようだが、もともと予備知識もないのでどの程度革新性があるのかは自分にはわからない。著者はプラトン学者ということだが、プラトンよりもアリストテレスによりページを割いているのはどのような思想の表出なのだろうか。一度通読したあとは辞書のように使えるので自分のような哲学初心者にはありがたい一冊。ローマ時代を扱った続編も予定されているということで、楽しみに待ちたい。2023/03/15

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