内容説明
思想家・内田樹が紡ぐ25のエッセイ。インプットの方法、アウトプットの原則、学術の意味、複雑化する社会での教育、若い読者へのメッセージまで、知性の本質を縦横無尽に展開する。学問と実践、リベラルと保守、知性と宗教――対立するように見える概念の間を自在に行き来する内田哲学の真髄がここにある。混迷の時代を生き抜くための知の在り方を示し、現代人凝り固まった常識を打ち砕いてくれる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
29
韓国の読者からの質問に内田センセイが答える趣向。日本人と異なり、ストレートな質問も多かったりする。とはいえ、答えはブレません。自分にはわからないことや共感できないことを喉に刺さった魚の小骨のように気にかけ続ける。知性とは集団的に発現する。自分らしさに居着いてはならない。読書肺活量が少ないと、自分でもわかる事を探し出してつまみ食いした要約する。ややこしい話を書く場合は自分のヴォイスで語ることが必要。無心になれば、枠組みが無効になる。「最も重要なのはあなたの心と直感に従う勇気」には若い頃に出会いたかったなあ。2025/06/18
江口 浩平@教育委員会
26
【思想】内田樹先生の新刊ということもあり、タイトルに惹かれて手に取った一冊。韓国の若者からの質問に答える形で、自伝のように自らの学びの遍歴を答えているところが興味深かった。内田樹先生の師弟論や学習論の根底にあるものを知ることができると同時に、自分もどのようにこれから学んでいくか考える契機となる一冊であると思った。2025/06/08
Mc6ρ助
20
『でも、僕は合気道の創始者でなくて、弟子ですから、「僕はできないけれど、こういう稽古をすれば、できるようになる(かもしれません)」と言うことができる。自分ができないことを教えられる。・・弟子や祖述者の最大のアドバンテージは自分の器量や才能を超える学知や技芸を後世に伝えることができるということにあります。(p33)』武道はもちろん学問にトンと疎い爺さまであることを自覚できたことはこの本を読んだことによるある意味で大きな収穫であったかも知れない。2025/07/09
のっち
17
☆☆☆☆ 本書は韓国の若者の質問に内田先生が答えるQ&A形式の書籍で、テーマはズバリ知性について。一言で言うと、私の学んできた組織論を更に壮大なレベルで体現されているのが内田先生なのである。読みながらたくさんの箇所に付箋を付けたが、おそらく核となるのは、個人のではなく集団のパフォーマンスを向上させるためにどうすれば良いのかを常に考えること。そして周囲の人々の知性を活性化させることのできる者が、真の知性的な人だという点にあると思う。個人の知を集団の知と昇華させれば、その集団の規模もグッと大きくなるだろう。2025/06/12
Ryuya Matsumoto
10
韓国の方からの様々な質問に答えるという形で全体として「知性」について考える本。一つ一つのトピックは、これまでどこかで読んだような内田先生のいつものお話が多いのだけれど、それが違う文脈の中で再構成されると、これまでとまた違った示唆があった。〈読者が本を読んでいるうちに、急に立ち上がって、部屋の中をぐるぐる歩き回るような、そういう「なんだかよくわからない反応」を始めるような、そういう読者の心と体に直接触れるようなものを書きたいんです〉という内田先生。私、まんまとやられてます。2025/06/07