内容説明
秋湊高校新入生初登校の日、一年一組の生徒全員の机のなかに、小さなカード三枚と何者かからの挑発的なメッセージが入れられていた。曰く「諸君、入学おめでとう。君たちに入学祝いを用意した。これから出題する謎をすべて解き明かすことができたら、賞品を差し上げよう」──かくしてゲームの幕は上がる。解答期限は五月一日、教師に知られた時点で謎解きは強制終了。クラスメート全員を巻き込んで進行する、一年一組限定の謎解きゲームの顛末は? 新鋭が放つ生粋の学園ミステリ、「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」優秀賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
20
不安と期待が入り交じる秋湊高校新入生初登校の日。謎解きゲームと友だちづくり、ふたつの難問に向き合う生徒たちの姿を描く学園ミステリ。一年一組全員の机の中に入れられていた、小さなカード三枚と何者かからの挑発的なメッセージ。クラス分けがされて自分は居場所を作れるのか、そんな不安を抱えながらクラスのみんなで謎解きを進めていく展開で、暗号中心の問題はやや難易度高めで、探偵役の鈴堂さんがいなかったらちょっと厳しかったかもでしたが、その過程で育まれていった友情と、最後の微笑ましいオチまで含めて優しくて素敵な物語でした。2025/07/30
カノコ
14
秋湊高校の一年一組の新入生全員の机に入れられたメッセージ。彼らはメッセージに書かれた謎を解けるのか。謎解きに前向きな者、内心面倒に感じている者。友だちづくりに懸ける思いも様々。そんな彼らが団結していくような、爽やかなタイトルから受ける印象通りの濁りのない澄み切った青春小説だった。ミステリ要素の大部分を担う謎解きは文章のみで解くにはややこしく、かなり流し読みになってしまったのが残念。登場人物たちの年齢を少し下げて、ジュブナイル作品としても良いのではないかと思ってしまった。ピュアで微笑ましい物語。2025/08/14
ほたる
12
高校に入学して慣れない最初の1ヶ月。友達が出来るかな、上手くやっていけるかな。胸の内には不安がたくさん。そんなモヤモヤした新生活の幕開けに、ちょっとした謎が人と人とを繋ぎ、気分を少し晴れやかにしてくれる。とてもとても優しくて良い小説だなぁと思った。2025/07/01
りこ
11
期待と不安を抱えて高校に入学した一年一組の生徒たちは新学期早々、出題者不明の謎解きゲームに挑むことになる。彼ら彼女らが暗号解読を通じて仲を深めていく様子が活写される、すこぶるいい小説だった。クラスの中心で謎解きを進めていく鈴堂と廻立ではなく居心地の悪さを抱える三人が視点人物になっているからだろうか、つい感情移入してしまう、救われた心地のする優しい物語になっていたように思う。出題者の意図は早い段階で予想がつくが、そこへ至るまでの過程を実直に描くことでこんなにもおもしろく読ませられるのか、という驚きがあった。2025/07/03
クレイン
10
個人的には結構好きかなぁ。 誰か死ぬとかそういうものもなく、自分の心情に向き合う姿は良いねぇと思う。この素直な向き合い方が良いと思うのは、自分の歪みも原因なのかも知れんけどねぇ。 爽やかなお話でした。 この制度がこれから続くのは個人的には?ではある。制度にしない方が素敵なこともあるんちゃうのと思ったり。2025/07/19