内容説明
荒廃した世界から浮上したかつてのベンガルールの街は、徹底した能力主義のテクノクラシー統治体制がしかれ、“頂点都市”と改名して繁栄を極める。この街の住民は生産性とソーシャルメディアのスコアに基づき厳格に評価され、上位二割と中間七割の“ヴァーチャル民”は最新テクノロジーを駆使した豊かな特権生活を享受している。だが、そこから排除されて都市外に追いやられた下位一割の“アナログ民”のあいだでは叛逆の胎動が……両者の視点から衝撃の近未来社会を描き、ローカス賞・クラーク賞ファイナリストとなったインド発の傑作SF!/解説=鯨井久志
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
17
連作短編集だったのねー、何かおかしいと思っていたけど。所謂、ディストピア小説なのかなぁ、なかなかユニークで面白い世界を構築してあって、それ自体は悪くないんだけど、とにかく全体としてストーリーが全然、進まない、展開しない。それも連作短編集ということなら一応、理解はできるけどね。だから評価は少し難しいな。2025/07/20
本の蟲
12
様々な特権を持つ上位2割民。上位への昇進を目指し、下位への追放を恐れる中間7割民。原始的なテクノロジーしか許可されず、アナログ民と蔑まれる下位一割民。徹底した能力主義都市のディストピアSF。大きな流れではアナログ民の反乱が語られるが、昇進間近の中間民が受ける思想教育、自然分娩を宣言した上位民がもたらした周囲の混乱、下位民を動物扱いする「アナログ民見学ツアー」に違和感を抱く中間民ガイド、優秀賞表彰式におびえるアバター利用の上位民インフルエンサー等、無数の短編であらゆる階層の人間模様を見せてくれる短編連作。良2025/07/07
BECHA☆
7
文明が崩壊した後、かつての世界の主だった大都市は尖塔都市、王冠都市、最上都市、特級都市といった名前でそれぞれの自治社会を維持している。その一つベンガルールの街は頂点都市としてベル機構が特権階級の上位二割民・中間七割民までを"ヴァーチャル民"と位置付け、機構の基準を満たさない下位一割民を"アナログ民"として都市外に追いやっていた。それぞれの立ち位置の人々を群像劇的に描くディストピアSF。2025/07/18
スターライト
3
近未来のインドの都市ベンガルールを舞台に、能力と生産性によってヴァ━チャル民とアナログ民に階層化された社会を描くディストピアSF。発達した情報技術がどのように社会を変えたのかを様々なガジェットを登場させながら、それを持つ者と持たざる者の生活を描写し、やがて下層民による反乱が起こるまでをモザイク状に浮かび上がらせながら物語は展開する。初めて読むインドSFだったが、予想以上に楽しめた。2025/07/26
Abercrombie
3
つまらなかった。生産性至上主義の都市国家の崩壊を、様々な社会階層、立場の人々が苦悩、絶望、葛藤するエピソードの積み重ねによって描く、インド発のディストピアSF。工夫は買うけど、起伏のない話の羅列は、読んでてまったく面白くない。ひたすら眠気との闘いだった。短編形式なのに目次がないのも不便。2025/07/18