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内容説明
この世界には「移動できる人」と「移動できない人」がいる。
日本人は移動しなくなったのか?
人生は移動距離で決まるのか?
なぜ「移動格差」が生まれているのか?
通勤・通学、買い物、旅行、引っ越し、観光、移民・難民、気候危機……
日常生活から地球規模の大問題まで、移動から見えてくる〈分断・格差・不平等〉
独自調査データと豊富な研究蓄積から「移動階級社会」の実態に迫る!
【本書のおもな内容】
●「移動は成功をもたらす」は本当なのか?
●半数弱は「自由に移動できない人間」だと思っている
●5人に1人は移動の自由さに満足していない
●3人に1人が他人の移動を「羨ましい」と思っている
●移動は「無駄な時間」なのか?
●移動は誰のものか?――ジェンダー不平等という問題
●格差解消に向けた「5つの方策」とは?……ほか
【目次】
第1章 移動とは何か?
第2章 知られざる「移動格差」の実態
第3章 移動をめぐる「7つの論点」
第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」
「移動」をもっと考えるためのブックリスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
92
ちょっと興味が惹かれるタイトルで読んでみた。移動資本なる聞き慣れない言葉があった。「過去の移動経験の蓄積」…まー、旅慣れるって事ね。日本の1/3の人は移動の不自由を抱えている。高齢の家族が居たりペットが居たり膝や腰が痛かったり貧困であったり…割合多いなと感じた。そして、「行きたい場所にいつでも行けますか?」また「自分の移動を自分で決めて実行できますか?」の問いに「できる」と答えた人もそれは意外に不安定な当たり前であることを知ってほしいとありました。そうだなぁ。できるうちに行きたい所に行こうと思い知りました2025/07/31
万葉語り
41
人生は移動距離で決まるのか?の帯が印象的でした。自分自身は最寄駅から徒歩30分の地方在住者で、車社会にどっぷりはまっている。思い立ったら県外への移動も自由で、障碍者も身内にいない。しかし上を見れば、年に何度も海外に出かけているセレブもいて、そういう人たちの経験値には勝てないだろうなと思う。総じてそういう話だった。2025-422025/07/12
よっち
34
この世界には「移動できる人」と「移動できない人」がいる。日常生活から地球規模の大問題まで、移動から見えてくる移動階級社会の実態に迫る1冊。人だけでなく、モノ・情報・お金・文化も移動する中でも、「移動格差」があるのではないか、お金が移動に影響を与えているのではないかという観点から様々な考察をしていく内容で、過去の移動経験の蓄積や移動したい時に移動できるかどうか、旅行を巡る移動の自由さ、男女や地域ごとの転居経験やその可能性にも格差があって、コロナ禍はどのような効果をもたらしたのかなどいろいろ興味深かったです。2025/07/07
ゆみのすけ
23
通勤、通学、買い物といった日常生活のちょっとした移動から、留学、旅行、転勤、出張、そして災害、戦争等による予期せぬ移動と様々な移動について扱われている。誰もが自分の意思で自由にできる権利だと思われる移動だが、実際はジェンダー、国籍、職業、地域、社会階層、身体的な問題など様々な制約を受けていることに気づかされた。移動は決して自由なものではなく、気候・エネルギー等の環境問題、移民難民問題、人口減少による労働力確保等、現代社会の大きな問題に深く結びついていることがわかり、新たな視点で移動を考える機会になった。2025/08/09
kuukazoo
22
好きな時にどこにでも行けることが人によって当たり前だったりそうでなかったりする。また意思に反し移動を余儀なくされる。それは個人の問題ではなく社会/政治的な不均衡が原因とするモビリティ・スタディーズ入門書。身近では都市/地方の公共交通インフラ格差や高齢者の免許返納問題、国際レベルでは気候変動による難民の発生など。移動格差について包括的な解説を目指した本なので様々な問題が取り上げられているが、背景にある収入差/性差/地域差などが互いに影響し合いどれも一筋縄ではいかない。勉強になるがモヤモヤも増えた(笑)。2025/05/31