見えない世界を視る:近代日本における〈非リアリズム小説〉

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見えない世界を視る:近代日本における〈非リアリズム小説〉

  • 著者名:山中正樹【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 第三文明社(2025/05発売)
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  • ISBN:9784476034318

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内容説明

言語では表現し得ない世界を、言語によって表現する――。芥川龍之介、川端康成、村上春樹、川上弘美らが描く〈非リアリズム小説〉をもとに、〈読むこと〉を考える。

「言語や感覚では捉えられないものが世界には存在すると考え、それを表現しようとした作家や作品、〔中略〕例えば、日本を代表する文豪である、森 外や夏目漱石にもそうした要素は見られ、特に、芥川龍之介・川端康成・三島由紀夫などがこれにあたる。また現代の作家では、村上春樹・村田喜代子・川上弘美なども、この系譜に連なる作家であると言えよう。
これらの作家は、〔中略〕目の前にある現象や事物の背後に、感覚では捉えられない世界があることを認識の基盤としている。私たちの感覚では捉えられない世界、言語では表現できない世界の存在を、疑わないのだ」(本書「序章」から) )

目次

はじめに
序章 日本の近代文学における〈二つの流れ〉について
第一部 深層心理の闇/〈暗黙知〉と世界認識──近代日本文学研究上の課題
第一章 近代日本文学研究上の課題
第二章 〈暗黙知〉と〈世界認識〉──M・ポランニー『暗黙知の次元』と世界認識
第三章 読むことのモラリティ(倫理)
第四章 識閾下の世界──村上春樹の「地下二階」をめぐって
第二部 近代日本における〈非リアリズム小説〉を読む
第一章 人間存在が抱える心の闇──芥川龍之介「羅生門」の〈夜の底〉
第二章 〈生〉と〈死〉を超えて/川端康成の死生観──「散りぬるを」における〈不死の生命/死者の復活〉
第三章 宿命と人生──横光利一「蠅」にみる究極の不条理
第四章 「熊の神様」を信じることの意味をめぐって──川上弘美「神様」私論
第五章 川上弘美「神様 2011」が描き出すもの──「《神》の非在」と対峙する「わたし」
第六章 死者の鎮魂/死者との共食──三浦哲郎「盆土産」を読む
第七章 岩崎京子「かさこじぞう」の〈深層批評〉──「じぞうさま」はなぜ動いたのか・〈世界線〉を変える心の力
終章 〈第三項〉と〈世界像の転換〉をめぐる「ひとつ」の考察──いまこそ文学教育による子どもたちの心の修復を
参考文献表
あとがき