内容説明
刀の様し斬りと罪人の斬首を生業にしている山田朝右衛門は、死に取憑かれていた。師匠、思い人、兄弟子……大切な人を次々になくし、荒れきった屋敷でただひとり、自分の寿命が尽きるのを待ち、お役目だけの日々。そんな無聊の中、あり得ないことに、ひとりの罪人の斬首をし損ねてしまう。服部半蔵を名乗り、身軽に逃げ去ったその男は不老不死で、斬られた首さえ再生させることができるという。しかも、余人からは記憶に残らない顔に見える反面、朝右衛門からは半獣に見えていた。屋敷に転がり込んできた半蔵は、300年前から彼を知っていると言うが……。安倍晴明の子孫、沖田総司、土方歳三、吉田松陰など幕末の激動を生きるものたちとの交流、死神との対決の末、朝右衛門がつかんだものとは――。幕末怪異ファンタジー。
【著者プロフィール】らんどう・つばめ 1995年生まれ。徳島大学総合科学部人間文化学科卒業。2020年、「めめ」でゲンロンSF新人賞優秀賞受賞。2021年、『鯉姫婚姻譚』で日本ファンタジーノベル大賞2021大賞を受賞し、デビュー。本作が二作目となる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
74
死神に憑かれた山田朝右衛門と不死の服部半蔵がバディを組み、安倍晴明や犬神憑きの長州藩士らが絡む。死神憑きや犬神憑きは世界がまだ茫漠としている若い人には魅力だろうが、世界が狭まって行きつく先が見えている高齢者(私)には面白くもなんとも。それでも楽しく読んだのは、藍銅ツバメさんの文章のおかげだと思う。すっきり情景が浮かび、物事がずいずい進む。それでいて薄っぺらさを感じさせない。9つの短編それぞれも、また連作としても上手くまとまっていて面白かった。犬神のイヌが楽しく、続編もありそう。2025/07/19
星群
71
初読み作家さん。冒頭の朝右衛門と鍵役の、半蔵の顔立ちに対する会話がツボにハマって、好きな作家さんになりました。処刑人って聞いても、まぁ必要な役職だからねって位にしか思わないけど、罪人の遺体から肝を抜き取って薬にする場面は、さすがにあまり気分は良くない。喜怒哀楽の感情によって、耳が動く半蔵が可愛い。2025/09/25
がらくたどん
53
表紙は馬(鹿)頭怪人。裏は美形鬱侍。世襲(名前・稼業)の枷に執着の酷が絡み合う設定と血飛沫上等!持ってけ生首の「ご遺体」大量描写の割には尻上がりに妙に明るい作品。時は江戸幕末。極刑が斬首の時代に処刑・刀剣試技を家業とした一家(血縁世襲ではない)の一人山田「朝」右衛門の下に忍び稼業と元主人への執着がもはや混然としてしまった初代服部半蔵が転がり込む。朝右衛門には既に何やら憑りついているようで安政の大獄の混乱に乗じるように美形根暗男を挟んで馬頭怪人VS憑依霊の物騒な綱引きが始まる。血みどろブロマンス・エンタメ♪2025/06/18
ポチ
39
死神に取り憑かれた山田朝右衛門と300年生きてる不死身の馬鹿顔の服部半蔵、彼等の身に降りかかる妖絡みの出来事。軽くサクサク楽しめました。2025/06/07
papako
38
朝日新聞で紹介されていて。江戸末期の首切り役の山田朝右衛門と服部半蔵の300年をまたぐ忠義のお話。ちょっとラノベっぽい設定やお話でした。独特の世界観や雰囲気が楽しめました。三人がどんな幕末を迎えるのか読んでみたい。続編期待します。2025/07/04
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