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内容説明
【「軍人=独裁者」像を破る】
「軍事独裁」の象徴として語られ、現在も権威主義者に影響を与え続けるナポレオン・ボナパルト。彼が侵略戦争で得た人気と、クーデタで手にした地位を支えたのは、革命に倦んだ民衆の「本音」を掬い取る〈選挙〉と〈調整〉の戦略だった! パリから遠く離れたコルシカの議員一族に生まれ、地元の選挙戦と占領地統治で磨いた政治力を駆使し、男は革命期のエリートの思惑を超えて、「共和国の皇帝」へとのぼりつめる……。第24回大佛次郎論壇賞を受賞した気鋭のフランス史家が「見えざる独裁」のメカニズムを描く。
◆ブリュメール18日、ナポレオンの議会突入命令は一度無視されていた
◆大臣のポストに軍人は半数以下
◆革命が激化するほど低下した投票率はナポレオン時代に10ポイント以上回復した
◆県知事の評価項目は能力より住民からの評判
【目次】
はじめに――ナポレオンは「独裁者」だったのか?
第一章 政治家ナポレオンの誕生
第二章 ポスト革命期の選挙戦略
第三章 「調整型」の政治戦略
第四章 国民の期待を体現する――ナポレオンのプロパガンダ戦略
終章 「軍人=独裁者」像の裏側
おわりに――ナポレオンは「ポピュリスト」か?
主要参考文献一覧
関連年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
127
ナポレオンは軍人上がりの独裁者と見られ、政治家のイメージは少ない。しかしナポレオン法典の公布にフランス銀行開設、全国統一の税制や行政制度の整備とバチカンとの和約などの政治的業績は今日までフランスのみならず世界にも影響を残す。革命で旧体制を破壊した国の指導者として新たな統治システムを築いた有能さだけでなく、内乱も経験した国民の支持を集めるため選挙の有用性を認識していた。王や貴族の専制が当然だった時代、選挙を通じて民衆に政治参加の意識を持たせ権力を安定させようとした点で、彼は確かにポピュリストといえただろう。2025/06/03
skunk_c
64
表題は編集者が付けたそうで、「おわりに」に著者が書いているように、本文内に「ポピュリスト」という表現は登場しない。むしろ軍人皇帝のイメージが先行しがちなナポレオンについて、巧みな選挙の利用法、調整的な政治手腕、そして自身を如何に皇帝らしく演出するかといったメディア(新聞・美術・演劇など)戦略について、かなり踏み込んで論じている。やはり非常に有能な人物であり、「独裁者」でありながら、その独裁は常に国民の利益を意識(結果的に自身の地位の安定につながる)している。当時のフランス社会の空気も伝わる良書と思う。2025/08/10
Francis
17
大佛次郎論壇賞「ブリュメール18日 革命家たちの欲望と恐怖」の著者の新刊。トルストイ「戦争と平和」にナポレオンが登場するのでナポレオンの事が知りたくなり購入。ナポレオンがどのような政治家だったかが良く理解できる。タイトルの「ポピュリスト」は編集者が付けたものであり、現代の「ポピュリスト」とナポレオンは一部しか重ならないので誤解を招くタイトルだと思う。ナポレオンは国民投票で帝位に就いたように国民の意志をくみ取る政治を行っていたがゆえに権力の座にいることが出来た事が分かる。2025/05/20
ジュンジュン
12
ナポレオン体制を「その起源からして軍事独裁だった」から「軍事的勝利を追い風にして、次第に独裁化した政治体制」へと定義しなおすのが本書の主旨。さらに、軍事的栄光こそ独裁化への原動力だったが、独裁が必ずしも軍事的に行われたわけではない事も注視する。では、何を以って「独裁者」たらしめたのだろう?著者は「政治家」それも現代にも通ずるような近代政治家としての姿をナポレオンに見る。2025/07/17
とり
8
本書は軍人ではなく政治家としてのナポレオンの焦点を当てている。ナポレオンと言えば軍事力を背景に独裁政治を行なったというイメージだったが、住民との協調を優先、バランスを重視した調整型政治戦略をとるなど、思っていた以上に真っ当な政治家であった。2025/06/12
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