内容説明
華麗なるモガの時代に、誰に虐げられようとも自らの幸せをつかもうと、たくましく、美しく、前向きに生きた麗しい4人の乙女の物語。
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人気作家たちが、文明花開くモダンな時代を舞台に描く、恋愛アンソロジー。
家族に愛されず、孤独と絶望を抱える4人の主人公――実家の百貨店で使用人のように働かされている静香(天花寺さやか「帝都百貨店の職業女史」) 、生まれた時から心臓が弱く出来損ないと罵られている雛子(卯月みか「朱雀が紡ぐ恋」) 、家族の誰よりも背が高く美しいゆえに誰からも虐げられている高子(みちふむ「将官と男装令嬢の恋」) 、実の両親と死に別れ養子に入った先で半ば幽閉されているかのように暮らす紡希(望月麻衣「龍神様の許嫁」) 。
苦しい境遇でも、けなげに誠実に生きる彼女たちの前に現れたのは……?
胸の高鳴りが止まらない! 乙女たちの運命の恋物語。
目次
天花寺さやか「帝都百貨店の職業女史(モダンガール)」
卯月みか「朱雀が紡ぐ恋」
みちふむ「将官と男装令嬢の恋」
望月麻衣「龍神様の許嫁」
装幀 坂野公一(welle design)
装画 マツオヒロミ「恋の予感」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
華麗なるモガの大正時代に誰に虐げられようとも自らの幸せをつかもうと、たくましく美しく前向きに生きた麗しい4人の乙女の物語を描いた恋愛アンソロジー。実家の百貨店で使用人のように働かされていたり、生まれた時から心臓が弱く出来損ないと罵られていたり、背が高く美しいゆえに誰からも虐げられていたり、両親と死に別れ養子に入ったらそこには理由があったりと、女性にはまだ厳しい時代に家族に愛されず孤独と絶望を抱えながらも真摯に生きてきた主人公たちが、運命の出会いを機に報われ幸せになっていくストーリーはなかなか良かったです。2025/06/16
ひさか
29
2025年4月河出書房新社刊。書き下ろし。天花寺さやか:帝都百貨店の職業女史、卯月みか:朱雀が紡ぐ恋、みちふむ:将官と男装令嬢の恋、望月麻衣:龍神様の許嫁、の4編のアンソロジー。いずれも、典型的な悪者いじめ役が登場するわかりやすい世界で、舞台化しても映えるかと思う。卯月さん、望月さんは、ファンタジー要素があり、より楽しい。2025/06/29
はなりん
18
4人の作家さんによるアンソロジー。大正、浪漫、乙女のキーワード。ワクワクします。政略結婚での前妻の娘。体が弱く役に立たない娘。男性より背が高い娘。娘の替わりに生贄にする為養女にした娘。それぞれ家族から虐げられ居場所がない。それでも人を思いやり、頑張る素敵なヒロイン達でした。そんなヒロインを見初め、見守り支えるヒーロー達も素敵でした。悪役にはきっちり制裁もあり、読後スッキリ。こう書くと同じような話になってしまうのだけど、それぞれドキドキハラハラ楽しめました。2025/07/13
小梅さん。
12
こういうの、本当に好き。 大正浪漫の中の少女たちの恋。 特に1作目の天花寺さやかさんのが素敵。 当時では、まだ珍しくて、世間的に認められてもいなかった「職業婦人」の先陣を切った虐げられた少女。 なんて美しいのだろう。 他の3編も、それぞれを単独で読めば、ものすごくテンションが上がるであろう素敵なお話たち。 でも、思った以上にそれぞれが似通っていたのが、、、 1編目で大いに盛り上がり、2編目でちょっとあれ、となり、3編目、4編目は、、、 でもでも、それぞれは本当に素敵で好きな作品だった。2025/05/02
ベル
10
なんだって主人公たちはこんな血も涙もない家族を持ってしまったんだ… あまりに酷い扱いにしょぼしょぼしてたんだけど、だんだんそれがクセになって来てしまい、4編楽しく読混ぜていただきました。 自分の持っているものを信じて絶望せず、どんな境遇でも誠実に生きる彼女たちの逞しさに拍手。諦めなかったから、出会うべき人に出会えたんだなぁ。 2025/05/06