内容説明
ユダヤ人初、収容所からの逃亡に成功。アウシュヴィッツ・レポート作成者の数奇な人生
ナチスによる殺戮を今すぐ伝える、それがユダヤ人を救う唯一の方法だ――19歳のヴァルター・ローゼンベルクは危険を冒して強制収容所から脱出し、瀕死の状態のなか「死の工場」の実態を暴いた。驚異的な記憶力を持つローゼンベルクの証言によって、詳細な報告書が作成された。まもなく報告書は世界中に配信されてユダヤ人解放へとつながり、多くの命を救った。歴史を動かし、自身も歴史に翻弄された男の功績と生涯を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
86
1944年4月、19歳でアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所から脱出することに成功したヴァルター・ローゼンベルク。その証言はのちに「アウシュヴィッツ・レポート」として残され、本書はこの史実に基づいて描かれたノンフィクションである。彼の脱走計画には3つの前提があったという。第1に、世間はアウシュヴィッツの実態を知らないということ。第2に、連合軍が大量殺戮の事実を知れば、ただちに行動に出るはずだという確信。そして第3に、ユダヤ人が真実を知れば、移送列車に乗ることを拒み、死の工場は停止するという信念である。→2026/01/26
キムチ
66
筆者は作家でもあり英国コラムニスト。アウシュヴィッツレポートと題し 映画化もされた。冒頭はいきなり生々しい脱出劇から入って行く。作品中盤までアウシュヴィッツの悍ましいリアルが延々と綴られる。幾度読んでも絶滅を目的とした工場の描写は耐えられるものではなく読むにはかなり時間と精神力を要した。とにかく【脱出あるのみ】と一図に邁進・・繰り返し それに失敗した例を見た学習が呟かれる。行動を共にしたフレートと共に驚くべき記憶力がかように優れたレポートになったという事実・・ヴァルターの成し得た偉業は20C で最も偉大な2025/07/17
つちのこ
49
ユダヤ人として初めてアウシュヴィッツを脱出した男の物語。脱出のドキュメントはサスペンス小説さながらの臨場感がある。死を賭して危険な脱出に突き動かしたのは、アウシュヴィッツで起きているナチスの大量殺戮を世界に知らしめるという使命感。結果的には輸送寸前のハンガリーのユダヤ人20万人を救うことになるが、ホロコーストの真実を信じてもらえず、ユダヤ人指導者や連合国トップたちの政治的駆け引きによって対応が遅れていく過程は当事者でなくてもやきもきさせられた。歴史修正主義や偏向報道が蔓延り、ホロコースト否定論者が⇒2025/12/27
鮫島英一
24
「イスラエルvs.ユダヤ人」で現代イスラエルの横暴と暴虐に触れている今こそ読み価値がある。アウシュヴィッツで地獄を知る人達が、ガザで大虐殺を実行している矛盾。根源ともいうべき疑問へ全て答えたとは言えないが読む意義はあった。ヴルバはアウシュヴィッツ・レポートを握り潰し、都合よく立場を入替えた人達とシオニストを嫌悪し、イスラエルもウルバを非難し嫌悪した。都合の良い事実のみ伝え右翼化していく国家の姿が既に垣間見れる。僕達はアウシュヴィッツ=ユダヤ=イスラエルという安易な図式に囚われ、惑わされているのもしれない。2025/11/08
ひと
19
年末のアウシュヴィッツ訪問に向けて。脱獄が極めて困難な環境だったこと、大部分は強制労働すらなくガス室に直行だったことを知り生き残れたことは奇跡だと認識した。個人の意志だけで生き残ることは難しく、支配側を含めたネットワークや裏経済の活用に幸運が重ならないとダメ…自分なら絶対に挫けていただろう。非常時とはいえ、あそこまで非人道的になれること、真実を知っても時勢に逆らって動くことの困難さは、悲劇は繰り返し得ることや表に出ていない(かもしれない)悲劇の存在(の可能性)について考えさせられた。人間は怖い。2025/11/05
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